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各々の答案は筆者が作成したものです.間違いなどがありましたらお知らせください.
*** 目次 ***(クリックすれば該当項目にジャンプします) |
【要点】
(1) 2点A(α), B(β)間の距離ABは, |α−β| で表される. ![]() |z|=r (r>0) を満たすとき,点P(z)は原点を中心とする半径rの円周上にある. ![]() |z−α|=r (r>0) が成り立つとき,点P(z)は点A(α)を中心とする半径rの円周上にある. (4) 複素数の絶対値|z|については の変形がよく用いられる.
【例題1.1】
複素数zが|z−2i|=2を満たすとき, (山形大学2016年)
![]() |z−2i|=2は右図の青で示した通り,y軸(虚軸)上の点A(2i)を中心とする半径2の円を表す. 右図の赤で示した通り,点 △AOBは辺の長さが ![]() |α|<|β|のとき,一般に次の不等式が成り立つ.(三角不等式と呼ばれる) |β|−|α|≦|α+β|≦|α|+|β| βを固定して,αの向きを変えていくと,α+βは図の赤で示した円周上にある. 1) αとβが同じ向きに平行なときに図のPで示した点で|α+β|の値は最大値|α|+|β|となる. 2) αとβが逆向きに平行なときに図のQで示した点で|α+β|の値は最小値|β|−|α|となる. ここで であるから,
【例題1.2】
(解答)複素数zが (1) 複素数平面上で,等式を満たす点zの全体の集合は中心がア+イi,半径がウ ![]() (2) 等式を満たすzについて,絶対値|z|の最大値は オ ![]() ![]() (東京理科大2016年.一部引用)
と変形する. ![]() 原点からの距離|z|は上記の円に対して原点を中心とする円が内接する点Pにおいて最大値
(2)(三角不等式を用いた別解)
一般に次の不等式が成り立つ. |β|−|α|≦|α+β|≦|α|+|β|(ただし|α|<|β|とする) と変形する. であるから, |
【問題1】 選択肢の中から正しい答を選んでください.(クリックする)
(1)
証明は中心の計算過程で示す複素数平面上で,点zが円|z−1−i|=1上を動くとき,式w=3iz+6−2iで表される点wが描く図形をC0とする. (1) C0は円であることを示しなさい.また,C0の中心と半径を求めなさい. (首都大学東京2016年.一部引用
[当教材では選択問題に変更]) (中心) 半径
(2)
(中心)
(半径)
複素数平面上で,方程式 (神奈川大2016年.
[当教材では選択問題に変更])
(3)
複素数zが|i(z−1)+2|=2を満たすとき,l=|z+3|の最大値はエである. (芝浦工大2005年.一部引用
[当教材では選択問題に変更])
|i(z−1)+2|=2の左辺の括弧内に|-i|=1を掛けてもよいから
|−i2(z−1)−2i|=2 ![]() zは1+2iを中心とする半径2の円周上を動く. l=|z+3|は,このzと点−3との距離だから −3から中心1+2iまでの距離 (別解:三角不等式を使う場合の答案) l=|z+3|=|(z−1−2i)+(1+2i+3)| ≦|z−1−2i|+|1+2i+3|= 等号が成立するのは半径z−1−2iと1+2i+3=4+2iが同じ向きのとき |
次の◎は必ず覚えて覚えておくべきものです.○はどうしてもとは言えませんが,これを知っていると多くの問題で答案の見通しがよくなります.
【要点】
(2)の証明![]() だから, |z−α|=|z−β| を満たす点zの軌跡は,線分ABの垂直二等分線になります.
※この方程式はPAとPBの長さが等しいPA=PBということだけを指定しているので
1) PAやPBの長さは変化する(一定ではない)ことに注意 2) PAとPBは必ずしも一直線上にはなく,ABの中点M以外の点では,AP, PBは折れ線になることに注意 ○(2) 高校数学の円の方程式やベクトルのところで習うように,2定点A(α), B(β)からの距離の比が一定である点の軌跡は,アポロニウスの円になります.
「アポロニウスの円」というのは,変な形の円につけられた名前ではなく,ちゃんとした普通の円であるがアポロニウスという数学者が研究したもので「描き方」につけられた名前
地中海風スパゲッティという感じで,アポちゃん風の円の描き方と言っているようなもの ![]() m|z−α|=n|z−β|(m≠n, n>0, n>0) を満たす点zの軌跡は,
2点A, Bをn:mに内分する点と
※m=n (gt;0)のときは円にならず,(1)で述べた垂直二等分線になります.
2点A, Bをn:mに外分する点を 直径の両端とする円になる. A, Bをm:nに内分する点をQ,m:nに外分する点をRとする. 垂直関係の証明はベクトルの方が簡単なので だから ここで, したがって,PはQRを直径の両端とする円周上にある.
※PがQやRに一致するとき,
【例題2.1】
複素数平面において,方程式|z+1|=|z−1|を満たす点zの全体はどのような図形か答えよ. (愛知教育大2016年)
![]() 2定点A(1), B(−1)からの距離が等しい点の軌跡だから,2点ABの垂直二等分線すなわち虚軸になる.
【例題2.2】
(解答)複素数平面において,等式2|z−4|=3|z−3i|を満たす点zの全体はどのような図形を表すか.ただしiは虚数単位とする. (札幌医科大2016年)
2定点からの距離の比が一定(≠1)となる動点の軌跡は,アポロニウスの円になる. 2定点A(4), B(3i)を結ぶ線分2定点ABを3:2に内分する点をQ,3:2に外分する点をRとする. 求める軌跡はQRを直径の両端とする円になる. 中心は,QRの中点 半径は したがって
※答案の中に「アポロニウスの円」という用語を入れることにより,それが教科書や参考書に書いてある公式であることをほのめかし,根拠なしとして減点されるのを防ぐ
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【問題2】 選択肢の中から正しい答を選んでください.(クリックする)
(1)
円になるaを実数の定数とする.複素数zが (宮城教育大2005年.
[当教材では選択問題に変更]) (中心) (半径)
(2)
(i) 2定点からの距離の比が一定(≠1)である動点の軌跡はアポロニウスの円になる.複素数zが (i) 複素数平面上でzの表す点はどのような図形をえがくか. (ii) 複素数平面上で (宮城教育大2005年.[当教材では選択問題に変更])
(中心) (半径) ii)
wz+3w=3z+1
(w−3)z=1−3w これを|z−1|=2|z+1|に代入すると |1−3w−w+3| =2|1−3w+w−3| |−4w+4|=2|−2w−2| 4|w−1|=4|w+1| |w−1|=|w+1| 2点1, −1からの距離が等しい点の軌跡になるから,虚軸
i)の結果:zの軌跡が,中心
|3(1−3w)+5(w−3)| =4|w−3| |−4w−12|=4|w−3| 4|w+3|=4|w−3| |w+3|=|w−3| 2点−3, 3からの距離が等しい点の軌跡になるから,虚軸
(3)
iを虚数単位とする.複素数zが等式|iz+3|=|2z−6|を満たすとき,次の問いに答えよ. (1) この等式を満たす点z全体は,どのような図形を表すか答えよ. (秋田大2016年.[当教材では選択問題に変更])
左辺の絶対値記号の中に−iを掛けても等式は成り立つ(|−i|=1だから)
|−i2z−3i|=|2z−6| |z−3i|=2|z−3| 2定点3i, 3からの距離の比が2:1である点の軌跡はアポロニウスの円になる. 3i, 3を2:1に内分する点は 3i, 3を2:1に外分する点は これらの中点が円の中心になる 半径は (別解: したがって, 中心が4−iで半径が |
【要点】
(解説)(1) 複素数 (2) 複素数 (1) 逆に, ただし,原点0は虚軸上にもあるが実数として扱うので,純虚数といえるためには だから
【例題3.1】
(解答)複素数平面上で, (横浜国立大2016年)
※一般に複素数の多項式や分数式の共役複素数は,各々の複素数を共役複素数に入れ換えた多項式や分数式に等しい.
この公式は教科書や参考書に通常書かれているので,入試の答案を書くときに黙って使ってもよい. (ii)より 両辺をi(≠0)で割ると 両辺を1+i(≠0)で割ると 両辺を1−i(≠0)で割ると したがって 点 ![]() 入試会場では,ほとんどの受験生は上記のように計算する他ないと思われるが,このような計算を目で追っていくのはそれなりに苦痛である.複素数の偏角を考えると,もっと少ない計算量でできる.
これに 実数(偏角が0またはπ)になるのだから, ![]()
【例題3.2】
(解答)異なる複素数α, βに対して, (和歌山県立医大2016年)
(ii)より したがって α, βの中点 (*2)より,α, βを直径の両端とする円(ただし,(*)よりα, βを除く)…(答) ![]()
このような計算を目で追っていくのはそれなりに苦痛である.複素数の偏角を考えると,もっと少ない計算量でできる.
![]() |
【問題3】 選択肢の中から正しい答を選んでください.(クリックする.)
読者の操作性を考えて選択問題にしていますが,計算用紙などを使って十分考えてから選んでください.まぐれ当たりでは力は付きません
(1)
(1)
解説
やり直す
(2)
解説
やり直す
(3)
解説
やり直す
2つの複素数w, zが (1) 複素数平面上で,点zが原点を中心とする半径2の円周上を動くとき,点wはどのような図形を描くか.ただし,z≠2とする. (2) 複素数平面上で点zが虚軸上を動くとき,点wはどのような図形を描くか. (3) 複素数平面上で点wが実軸上を動くとき,点zはどのような図形を描くか. (弘前大2016年.[当教材では選択問題に変更])
実軸上にある条件 ⇔
z≠2…(1)したがって,1を中心とする半径1の円(ただし(*1)により点2を除く) |
![]() 中学校の図形の単元で学んだように,右図のような地形でA地点からB地点まで行くときに,途中の川で水をくんでから行く場合,図のPで示した地点で折れ線になるように行くと,歩いた距離が最短になります. この場所Pを求めるためには,川の端を表す直線を鏡のように考えて,点Aが鏡に写る像A'からBに直線を引きます.このようにA'から線を引くと,つねにAP=A'Pとなるので,AP+PBの代わりにA'P+PBの最短距離を求めたらよいことになり,それはA'Bが直線になるときに最短になります.
【要点】
指定された直線を経由して2点を折れ線で結ぶとき,その最短経路を求めるには,
【例題4.1】
複素数zが|z−1|=|z−i|を満たすとき,|z−2|+|z−4|の最小値を求めてください. ![]() |z−1|=|z−i|を満たす点は2点1, iを結ぶ線分の垂直二等分線になる.(右図の青で示した直線) このとき,|z−2|+|z−4|は図のAP+PBの折れ線の長さになるから,青で示した直線に対するAの鏡像A'(2i)とBを結ぶ線分A'Bが最小値になる.
(式で書けないのか?)
(2)|z−1|=|z−i|を満たす点は|z−2|=|z−2i|を満たす.(2乗してみると分かる) このとき, |z−2|+|z−4|=|z−2i|+|z−4| =|2i−z|+|z−4| は2i, z, 4が直線上に並ぶとき最小となる ≧|2i−z+z−4|=|2i−4|= ![]() △ABCにおいてBCの中点をMとおくとき, AB2+AC2=2(AM2+BM2) が成り立つ.
この定理は余弦定理,座標幾何,ベクトルなどの分野で多くの教科書・参考書に登場する.基本公式とは言えないが,「中線定理により」と断り書きを書けば結果を利用してもよいでしょう
≪余弦定理を用いた証明≫AB2=AM2+BM2−2AM·BMcos∠AMB…(*1) AC2=AM2+CM2−2AM·CMcos∠AMC ここでBM=CM, ∠AMB+∠AMC=πだから AC2=AM2+CM2+2AM·BMcos∠AMB…(*2) (*1)(*2)を辺々加えると求める定理が得られる. ≪複素数を用いた証明≫ 長さの関係は平行移動や回転移動によって変化しないので,Mを原点に移動し,BCがx軸上に来るように回転したもので証明する. このときA(α), B(−β), C(β)とおける. AB2+AC2=|α+β|2+|α−β|2 =2(AM2+BM2) ※Aが動点でB, Cが定点であるとき,中線定理を用いると,AB2+AC2の最小値を求める代わりに,定数BMと1つの動径AMの長さで計算できるので, AMが最短になるときにAB2+AC2が最小になる といえる.
【例題4.2】
(解答)複素数zが|z−1|=|z−i|を満たすとき,|z−2|2+|z−4|2の最小値を求めてください. ![]() △PABにおいてABの中点をM(3)とおくとき,中線定理により PA2+PB2=2(PM2+BM2) が成り立つ. ここで,BM2=1は定数だから PA2+PB2はPMが最短のとき,すなわちこの直線と垂直になるとき最小になる. このときPMは3, 3iの長さの半分だから (中線定理を覚えていないとき:計算でするには) |z−3|が最短のときにこの式は最小値をとる. 以下,図を描いて求めるには上記の答案と同じ. |
【問題4】 選択肢の中から正しい答を選んでください.(クリックする.)
読者の操作性を考えて選択問題にしていますが,計算用紙などを使って十分考えてから選んでください.まぐれ当たりでは力は付きません
zを複素数平面上の点とする.
(1)
解説
やり直す
(1) |z−4|2+|z−6i|2−2|z−2−3i|2の値を求めよ. (2) zが点−1−iを中心とする半径1の円上を動くとき,|z−2−3i|の最大値を求めよ. (3) zが点−1−iを中心とする半径1の円上を動くとき,|z−4|2+|z−6i|2の最大値を求めよ. (大同工業大2005年.[当教材では選択問題に変更])
![]() PA2+PB2=2(PM2+AM2) が成り立つ. したがって, |z−4|2+|z−6i|2−2|z−2−3i|2=2AM2 =2|2+3i−4|2=2|−2+3i|2=2(22+32)=26 ![]() だから,MCの延長が円の向こう側に当たる点で最大となる:5+1=6
PA2+PB2=2(PM2+AM2)
=2×62+26=98 |
![]() ![]() |
■[個別の頁からの質問に対する回答][複素数平面の入試問題について/18.8.14]
例題3.2で、z≠βは示されていますが、(zの共役複素数をz_、βの共役複素数をβ_として)z_≠β_は示されていません。複素数=複素数だったら互いに共役複素数をとっても=関係が成立するみたいな定理があるんでしょうか?
■[個別の頁からの質問に対する回答][複素数平面の入試問題について/18.8.13]
=>[作者]:連絡ありがとう. 真であるものがすべて定理であるわけではない.汎用性があって重宝するものしか定理とは呼ばない.だから,個別の式を変形しただけの結果は,目で確かめるだけでよい. のとき だから 例題1.2と問題1の(2)で質問です。
どちらの問題とも因数分解の形にできていないですけれど、何を目標に式変形をしていけばいいのでしょうか?また、その目標を達成するためにどのように式変形をしていけばいいかも教えて欲しいです
=>[作者]:連絡ありがとう.複素数平面で,中心がα,半径がrの円の方程式は だから すなわち の形を目指して変形します. |
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