■閉曲線で囲まれた図形の面積
【基本】
 右図のような図形の面積は,
S={ f(x)−g(x) }dx
で求められます.

【例1】
 円x2+y2=4の方程式をyについて解くと,
y=±
となるので,この円の面積は
S={ −(−) }dx
=2dx
で求められますが,右の解説のように,結果はになります.
【例2】
 閉曲線2x2−2xy+y2=4によって囲まれた図形の面積

y2−2xy+(2x2−4)=0を解の公式を用いてyについて解くと
y=x±=x±
となる.
4−x2≧0から定義域は−2≦x≦2
グラフは,y=xに半円y=を足したもの,及び引いたものだから
この閉曲線で囲まれた図形の面積は
S={ (x+)−(x) }dx
=2dx=4π
となって,【例1】と同じになります.
計算上はxが差し引きで消えてしまうせいです.
図形上は,(上):x+も(下):xから同じ分量xだけ持ち上げているので,面積は元の円と等しいということになります.
(参考)
左で述べた
S={ f(x)−g(x) }dx
は,絶対的なものではありません.右図のように縦に切ると幾つもの区間に場合分けしなければならず,横に切れば場合分けが簡単になるときは
x=の形に解きなおして,右(大きい方)をx=p(y),左(小さい方)をx=q(y)すると,
S={ p(y)−q(y) }dy
で求められます.
 【例1】の円では,縦に切っても横に切っても切り口は2本の線になるので,よく使う縦に切る方法で解説しています.
【図で考えると楽になる計算…半円の面積】
定数a>0のとき,
.dx…(1)
をていねいに計算しようとすると,下記の参考のような計算を行うことになり,この変形を毎回行うのは大変です.

 図で考えると,(1)は右図のような半円の面積を表しており
.dx=
とすることができます.
なお,この計算がこのように簡単になるのは,積分区間が−a≦x≦aという形で,「半円の全部」になっている場合であることに注意してください.
.dx
のような場合は,これほど簡単にはなりません.
(参考)…置換積分によって上記の(1)を計算する方法
変形の要点
1−sin2t=cos2tだから
cost>0のとき,=costとなることに目を付けると
x=asintと置けば
=acostとなって,根号がはずれます.
I=dxを計算するために
x=asintとおけば
x−aa
t
=acostdx=acostdt
I=.acostdt
≦t≦のときcost>0だから
I=.a2cos2tdt=a2.dt=
【問題1】
 次の定積分の値を求めてください.
.dx

【問題2】
 閉曲線5x2−4xy+y2=4で囲まれた図形の面積を求めてください.

π
【問題3】
 閉曲線2x2+2xy+y2=1で囲まれた図形の面積を求めてください.

π
【例3】
S=dx
のように,xの項を含む場合は,平方完成により
S=dx
=dx
=dx
と変形すると
x−1=tとおく置換積分により
x−22
t−33
=1dx=dt
S=dtとなって,
原点を中心とする半径3の上半円の面積になるから
S=と求められます.
【例4】
S=dx (a>0)
のように,x2の項に係数が付いている場合は
S=adx
と変形することにより,左の【例3】と同様に(半)円の面積と結びつけることができます.
S=dxを求めるには
S=2dx=2dx
=2dx
=2dx
x+1=tとおく置換積分により
x−20
t−11
=1dx=dt
S=2dt=π
【問題4】
 次の定積分の値を求めてください.
.dx

π
【問題5】
 閉曲線5x2+2xy+y2−16x+12=0で囲まれた図形の面積を求めてください.

π
【問題6】 (少し難しい)
 a<bのとき,次の定積分の値を求めてください.
.dx

π(b−a)2 π(b−a)2 π(b−a)2 π(b−a)2
○===メニューに戻る
■[個別の頁からの質問に対する回答][閉曲線で囲まれた図形の面積について/18.8.8]
問題5の定義域は、1≦x≦3ではなく、-1≦x≦-3では。そのため、答えも異なるので問題の訂正が必要かと
=>[作者]:連絡ありがとう.-1≦x≦-3ということはありません(-1が-3よりも小さい[以下]ということはない).左図のようになりますので,元の答案で正しいです.2次不等式の解き方があなたの弱点ですので簡単に復習しておくとよいでしょう.
■[個別の頁からの質問に対する回答][閉曲線で囲まれた図形の面積について/18.8.7]
例1のS=の式で、-(-√2^2-x^2なのに、-(√2^2-x^2になっています
=>[作者]:連絡ありがとう.元のままだと消えてなくなりますので,訂正しました.