![]() ![]() *** 科目 *** 数Ⅰ・A数Ⅱ・B数Ⅲ高卒・大学初年度 *** 単元 *** 複素数平面二次曲線媒介変数表示と極座標 数列の極限関数導関数不定積分定積分 行列1次変換 ※旧教育課程の高校数学Cに含まれていた「行列」について,このサイトには次の教材があります.
この頁へGoogleやYAHOO ! などの検索から直接来てしまったので「前提となっている内容が分からない」という場合や「この頁は分かったがもっと応用問題を見たい」という場合は,他の頁を見てください. が現在地です. ↓行列の記号と用語 ↓行列の相等,和,差,実数倍 ↓行列の積 ↓行列の計算(まとめ) ↓行列の乗法の性質 ↓零因子 ↓行列のn乗 ↓行列のn乗(2) ↓行列のn乗(3)-現在地 ↓逆行列 ↓ケーリー・ハミルトンの定理 ケーリー・ハミルトンの定理(2) |
○高校数学の行列は旧教育課程の数学Cに含まれていたが,平成21年(2009年)告示の教育課程では数学Cはなくなっており数学Ⅲなどの他の科目にも行列は含まれなかったため,高校では行列計算は原則として習わない. ○高校の教育課程からなくなったということは大学入試問題では忠実に反映されるので,行列そのものを出題することはないが,高卒向けや大卒向けの就職試験となるとこの制限はあいまいになる. ○この頁では「高校の旧教育課程にあった数学Cのレベル」で「2×2行列に限定して」行列のn乗を扱う. *** 目次 ***(クリックすれば該当項目へジャンプ) |
【例題1.2】 次の行列のn乗を求めてください.
(解答)そこで,「対角成分は対角でない成分より1大きい」「対角でない成分はan=1, 4, 13, 40, ...の数列になっている」と予想する.
1, 4, 13, 40, ...
anの階差数列をbnとおくと,3, 9, 27, ... bn=3n そこで と予想する. 次に,(*)を数学的帰納法により証明する. (Ⅰ) n=1のとき だから(*)は成立する. (Ⅱ) n=k(k≧1)のとき(*)が成立すると仮定すると 両辺に右から行列 したがって,n=k+1のときも(*)が成立する. (Ⅰ)(Ⅱ)よりすべての自然数nについて(*)が成立する. ∎ 証明終 ∎∥
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【問題1.1】
参考答案を見る(1) aを0でない実数とし, (2) 上の行列 (山形大学[平成17年度]からの一部引用)
(1)
(2) と推定する. 次に,(*)を数学的帰納法により証明する. (Ⅰ) n=1のとき だから(*)は成立する. (Ⅱ) n=k(k≧1)のとき(*)が成立すると仮定すると 両辺に右から行列 したがって,n=k+1のときも(*)が成立する. (Ⅰ)(Ⅱ)よりすべての自然数nについて(*)が成立する. |
【問題1.2】
参考答案を見る(1) (2)
(1)
(2) と推定する. 次に,(*)を数学的帰納法により証明する. (Ⅰ) n=1のとき だから(*)は成立する. (Ⅱ) n=k(k≧1)のとき(*)が成立すると仮定すると 両辺に右から行列 したがって,n=k+1のときも(*)が成立する. (Ⅰ)(Ⅱ)よりすべての自然数nについて(*)が成立する. |
【例題2.1】 次の行列のn乗を求めてください.
(解答)ケーリ-・ハミルトンの定理により が成り立つ. 今 となる (2)(3)より このとき(1)式は となるから ケーリ-・ハミルトンの定理により だから 右辺を計算すれば,
※(2)(3)において
つまり, ※ケーリ-・ハミルトンの定理 に対して という2次方程式を固有方程式,その解α, βを固有値という. この固有値を使えば, |
一般にケーリ-・ハミルトンの定理
1) 異なる2つの解をα, βをもつとき(α, βは無理数でも虚数でもよい) より (1)(2)の連立方程式を (2)−(1) (1)に代入 したがって 2) 重解αをもつとき この式で の2つから したがって ※微分を習っていない場合は,2段階に分けて求めるとよい (*)から これを用いて(*)を書き換えると
左辺を
一般に は初項が ※右辺を先に左辺を後で見ると楽
(**)に
(A)(B)はその場で作ればよく,こんなものまで覚え出したらきりがないと思う. |
【例題2.2】 次の行列のn乗を求めてください.
(解答)ケーリ-・ハミルトンの定理により が成り立つ. となる (*)に (*)の両辺を微分すると (**)に (1)(2)の連立方程式を解くと したがって この恒等式を行列の恒等式に当てはめると 行列 |
【問題2.1】
参考答案を見る(新潟大学[2000年度]からの一部引用)
前半のケーリー・ハミルトンの定理が成立することの証明は,ここでは省略する.
が成り立つ. そこで,多項式についての恒等式 となる (2)(3)より このとき(1)式は となるから ここでケーリ-・ハミルトンの定理により だから 右辺を計算すれば, |
【問題2.2】
参考答案を見る
ケーリー・ハミルトンの定理により
が成り立つ. そこで,多項式についての恒等式 となる (*)の両辺を微分すると (1)(2)より このとき(1)式は となるから ここでケーリ-・ハミルトンの定理により だから 右辺を計算すれば, |
【問題3.1】
参考答案を見るの成分を比較すると ![]() ![]() (1)+(2) (1)−4×(2) (5)(6)より 同様にして ゆえに |
【問題3.2】
参考答案を見るの成分を比較すると ![]() ![]() (1)より (1)+(2) 数列 (5)(6)より 同様にして ゆえに 重解を持つ場合,例えば, となって,1つ解けますので,これを連立漸化式の一方に代入すると |
○与えられた行列 と変形できれば,なぜうれいしのかというと となり,真ん中の ところが対角行列の積は成分の積になるので
◎対角行列
同様にして対角行列 または に持ち込むところがミソ 一般に のように何乗でも簡単に計算できます. から と変形しても同じです.
大学入試では高校の教育課程の範囲内にないものは出せませんが,対角化行列
が誘導問題として示されていれば高校数学の範囲内になります. これに対して,固有値から対角行列 ※(高卒向け)固有値,固有ベクトルをもとめて行列を対角化する方法はこの頁 |
【例題4.1】
(解答)(福岡大[平成17年度])
ここで, だから |
【例題4.2】
(解答)3つの行列を次のようにおく. このとき次の問いに答えよ. (1) (2) (岩手大[2000年度]一部引用)
ここで, 対角成分は入れ換える.対角でない成分は符号だけ変える. (2) |
【問題4.1】
参考答案を見る(1) (2)
(1)
(2) だから |
【問題4.2】
参考答案を見る(1) (2)
(1)
(2) だから |
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■[個別の頁からの質問に対する回答][行列のn乗について/18.9.2]
問題4.1の(2)の解説の、答えとなる行列の、2行1列目の成分で、マイナスが分母と分子の間の線のところの左横に来ていますが、正しくは分子の2^(n+1)の左横に来るべきだと思います
■[個別の頁からの質問に対する回答][行列のn乗について/18.9.2]
=>[作者]:連絡ありがとう.ズバリ書き損じがありました.よく見ると(1)の段階ですでに…訂正しました. 例題1.2に登場するΣの上端は、nではなくn-1だと思ったのですが、どうなんでしょうか?
■[個別の頁からの質問に対する回答][行列のn乗について/18.6.28]
=>[作者]:連絡ありがとう.訂正しました. [4] 行列の対角化を意識して解く方法のPがあらかじめ提示されてましたがPを求める方法が知りたいです
■[個別の頁からの質問に対する回答][行列のn乗について/18.5.13]
=>[作者]:連絡ありがとう.その内容は完全に高校数学の範囲を外れますので,このページを見てください. 的確かつ簡潔で、知りたいことが見事に解決しました。素晴らしいです。
元ネタや、参考文献はあるのですか。
■[個別の頁からの質問に対する回答][行列のn乗について/18.4.10]
=>[作者]:連絡ありがとう.参考文献というものはありません.高校で教えていたときに出会った内容をまとめて,補強したものです. P-1AP計算で答案では右からの行列計算ですが、左からの行列計算でも良いのですよね…結果は同じ様ですが…。問題4.1で最後の答でCnの場合-2のn+1乗+2✖5のn乗/3ではありませんか?…-が抜けていると思いますが…、宜しくご指導ください。
=>[作者]:連絡ありがとう.Cnの場合というのが何を意味するのか伝わってきませんが,2,1成分の符号に間違いがありましたので訂正しました. |
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