![]() ![]() *** 大区分 *** 数Ⅰ・A数Ⅱ・B数Ⅲ高卒・大学初年度 *** 中区分 *** ベクトル・行列連立方程式複素数関数・数列微分積分微分方程式統計maxima ※高卒から大学初年度向け「行列」について,このサイトには次の教材があります.
この頁へGoogleやYAHOO ! などの検索から直接来てしまったので「前提となっている内容が分からない」という場合や「この頁は分かったがもっと応用問題を見たい」という場合は,他の頁を見てください. が現在地です. ↓ベクトル.行列の超基本 ↓行列と一次変換 ↓点の像と原像(高校) ↓行列と1次変換 ↓ベクトルの直交条件 ↓1次独立,1次従属,基底,次元,核,階数 ↓行列の階数 ↓転置行列,対称行列,対角行列,三角行列 ↓逆行列(1) ↓逆行列(2) ↓行列式(1) ↓行列式(2) ↓行列式(3) ↓行列式.基本性質による変形 ↓固有値.固有ベクトル(定義) ↓固有値と固有ベクトル(求め方) ↓固有値と固有ベクトル(問題) ↓行列の対角化とは(定義) ↓行列を対角化するには(求め方)-現在地 表計算などによる連立方程式の解き方 |
≪行列を対角化するには≫
○ この頁ではn次正方行列Aが相異なるn個の実数の固有値をもつ場合のみを扱う.
○ 統計で登場する相関行列や分散共分散行列などの重要な行列の固有値は実数になる.数学的な理論の上では固有値が等しいという場合もあり得るが,観測データ(実数=小数)を元に実際の作業を行うときに小数の固有値が等しいことはほとんど起こらない. ※ 固有方程式が虚数解をもつ場合や重解をもつ場合の取り扱いは,ややこみいったものになる.これらは,線形代数の教科書・問題集や他のWeb教材に記載されており,この頁では取り扱っていない.
【要点1】
n次正方行列Aが相異なるn個の実数の固有値λ1 , λ2 , …, λn およびこれに対応する固有ベクトル→x1 , →x2 , ···, →xn をもつとき, 列ベクトル→x1 , →x2 , ···, →xn を束にした行列をPとおくと, ![]() |
(解説)
(参考1)
列ベクトル→x1 , →x2 , ···, →xn を束にした行列を
n次正方行列Aが相異なるn個の実数の固有値 λ1 , λ2 , …, λn およびこれに対応する固有ベクトル →x1 , →x2 , ···, →xn をもつとき,
A→x1 =λ1→x1
A→x2 =λ2→x2
………
A→xn =λn→xn
が成り立つ.
P=[ →x1 , →x2 , ···, →xn ]
で表すと,(参考1)の関係式は
![]() ![]() |
すなわち
A[ →x1 , →x2 , ···, →xn ]=[ λ1→x1 , λ2→x2 , ···, λn→xn ]
と書ける.AP=[ λ1→x1 , λ2→x2 , ···, λn→xn ]
(参考2)
(a) (行列)×(列ベクトル)=(列ベクトル)になる ![]() ![]() ![]() ![]() |
ここで,(参考2)の(c)を見ると,各列ベクトル→xkごとに固有値λkを掛けるには,右から対角行列を掛ければよいから,この式は
AP=P
と表せる.![]() |
したがって,もし行列Pに逆行列P−1が存在すれば(=行列Pが正則行列であれば),(2)の両辺に左からP−1を掛ければ(1)が得られる.
(参考3)
行列Pに逆行列P−1が存在することは,(参考3)によって分かる.
(e) 相異なる固有値に対応する固有ベクトルは1次独立である. (f) n次正方行列Pのn個の列ベクトルが1次独立であるならば,行列Pは正則すなわち逆行列が存在する. |
【要点2】
上の【要点1】によりn次正方行列Aが相異なるn個の実数の固有値をもつとき,Aを対角化するには次の手順で行えばよい.
(1) Aの固有値をn個求める.
(2) 各々の固有値に対応する固有ベクトルを求める. (3) 固有ベクトルを順に束ねた行列をP,固有値を順に対角成分とする行列をDとおく, (ただし,固有値,固有ベクトルは対応する順に並べる)
例1
(解答)次の行列を対角化せよ. ![]() (1) 固有方程式を解いて固有値を求める.
det(A−λE)=
(2) 固有ベクトルを求める
![]() ⇔ (1−λ)(−4−λ)+6=0 ⇔ λ2+3λ+2=0 ⇔ λ=−1, −2
1) λ=−1のとき
(3)
![]() ⇔ (x, y)=t(3, −2) 2) λ=−2のとき ![]() ⇔ (x, y)=t(1, −1)
P=
![]() ![]() ![]() とおくと P−1AP= ![]()
例2
(解答)次の行列を対角化せよ. ![]() …(この解答は「各場面で求めているもののイメージをつかむため」の例示であり,実際に固有値,固有ベクトルなどを求めるにはExcelで行えばよい.)… (1) 固有方程式を解いて固有値を求める.
det(A−λE)=
(2) 固有ベクトルを求める![]() ⇔ λ3−17λ2+94λ−168=0 この3次方程式は筆算では「因数定理を使って解く」ことになるが,上に述べたように実際にはExcelで固有値を求めるとよい. ⇔ λ=4, 6, 7 1) λ=4のとき ![]()
(*2), (*3)より
(*4)に代入 x+(y)=(5y) → x=(4y) ⇔ x=(4y), z=(y) → x=4t, y=t, z=t ⇔ (x, y, z)=t(4, 1, 1) ![]()
(*2), (*3)より
(*4)−(*5) 2z=(y) ⇔ x=5t, y=2t, z=t ⇔ (x, y, z)=t(5, 2, 1) ![]()
(*4)+(*5) x=(2y) これらを(*1)に代入すると成立するから(*1)は不要 ⇔ x=(2y), z=0 → x=2t, y=t, z=0 ⇔ (x, y, z)=t(2, 1, 0)
P=
![]() ![]() D= ![]() とおくと P−1AP= ![]()
例3
(解答)次の行列を対角化せよ. (筆算では無理なのでExcelで求めるものとし,小数第4位まで求めよ.)
次の対角行列Dに対して
P−1AP=Dとなる. |
この項目では,wxMaxiam(インストール方法)を用いて固有値,固有ベクトルを求めて比較的簡単に行列を対角化する方法を解説する.
類題2.1
(解答)次の行列を対角化せよ. 出典:「線形代数学」掘内龍太郎.浦部治一郎共著(学術出版社)p.171
○1 行列Aの成分を入力するには
メニューから「代数」→「手入力による行列の生成」と進み,入力欄において行数:3,列数:3,タイプ:一般,変数名:AとしてOKボタンをクリック
入力欄に与えられた成分を書き込む.(タブキーを使って入力欄を移動するとよい)
A: matrix(
[0,1,-2], [-3,7,-3], [3,-5,5] ); のように出力され,行列Aに上記の成分が代入されていることが分かる. ○2 Aの固有値と固有ベクトルを求めるには
wxMaximaで,固有値を求めるコマンドは eigenvalus(A),固有ベクトルを求めるコマンドは eigenvectors(A)であるが,固有ベクトルを求めると各固有値,各々の重複度,固有ベクトルの順に表示されるので,直接に固有ベクトルを求めるとよい.
画面上で空打ちして入力欄を作り, eigenvectors(A)+Shift+Enterとする.または,上記の入力欄のAをポイントしてしながらメニューから「代数」→「固有ベクトル」と進む [[[1,2,9],[1,1,1]],[[[1,1/3,-1/3]],[[1,0,-1]],[[1,3,-3]]]] のように出力される. これは 固有値λ1=1の重複度は1で,対応する固有ベクトルは 固有値λ2=2の重複度は1で,対応する固有ベクトルは 固有値λ3=9の重複度は1で,対応する固有ベクトルは となることを示している. ○3 固有値と固有ベクトルを使って対角化するには 上記の結果を行列で表すと これらを束ねて書くと 両辺に左から ※結果のまとめ 固有ベクトル 固有値を対角成分に持つ行列を とおくと となる.対角行列のn乗は各成分のn乗になるから,(1)を利用すれば,行列Aのn乗は簡単に求めることができる.(※) もしくは,(1)を変形しておいて これより さらに を用いると,Anを成分に直すこともできるがかなり複雑になる.
(※)
(1)式のように,ある行列Pとその逆行列P−1でサンドイッチになっている行列P−1APのn乗を計算すると,先頭と末尾が次々にEとなって消える: 2乗:(P−1AP)(P−1AP)=PAPP−1AP=PA2P−1 3乗:(P−1A2P)(P−1AP)=PA2PP−1AP=PA3P−1 4乗:(P−1A3P)(P−1AP)=PA3PP−1AP=PA4P−1 対角行列のn乗は,各成分をn乗すれば求められる:
(※)
wxMaximaを用いて(1)式などを検算するには,1-1で行ったように行列Aを定義し,さらにP,Dもその成分の値を入れて定義すると
行列の積APは A.P によって計算できる
実際に計算してみると,(行列の積はアスタリスク(*)ではなくドット(.)を使うことに注意.*を使うと各成分を単純に掛けたものになる) のように一致することが確かめられる. また,wxMaximaにおいては,Pの逆行列を求めるコマンドは P^-1 などではなく,invert(P)であることに注意すると(1)式は invert(P).A.P; で計算することになり,これが対角行列と一致する. |
類題2.2
(解答)次の行列を対角化し,Bnを求めよ. 出典:「線形代数学」掘内龍太郎.浦部治一郎共著(学術出版社)p.171
○1 行列Bの成分を入力するには
○4 Bnを求める.
メニューから「代数」→「手入力による行列の生成」と進み,入力欄において行数:3,列数:3,タイプ:一般,変数名:BとしてOKボタンをクリック
入力欄に与えられた成分を書き込む.(タブキーを使って入力欄を移動するとよい)
B: matrix(
[6,6,6], [-2,0,-1], [2,2,3] ); のように出力され,行列Bに上記の成分が代入されていることが分かる. ○2 Bの固有値と固有ベクトルを求めるには
画面上で空打ちして入力欄を作り,
eigenvectors(B)+Shift+Enterとする.または,上記の入力欄のBをポイントしてしながらメニューから「代数」→「固有ベクトル」と進む [[[1,2,6],[1,1,1]],[[[0,1,-1]],[[1,-4/3,2/3]],[[1,-2/5,2/5]]]] のように出力される. これは 固有値λ1=1の重複度は1で,対応する固有ベクトルは 固有値λ2=2の重複度は1で,対応する固有ベクトルは 固有値λ3=6の重複度は1で,対応する固有ベクトルは となることを示している. ○3 固有値と固有ベクトルを使って対角化するには 上記の結果を行列で表すと これらを束ねて書くと 両辺に左から ※結果のまとめ 固有値を対角成分に持つ行列を とおくと となる. さらに を用いると,Bnを成分に直すこともできるがかなり複雑になる. |
問題
次の行列を対角化せよ. (筆算では無理なのでExcelで求めるものとし,小数第3位まで求めよ.Web画面をドラッグ・コピーしてからExcel上に貼り付けると入力の手間が省ける.)
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(解答)
次の対角行列Dに対して
P−1AP=Dとなる. |
筆算による
なるべくシンプルな例を幾つか示す.固有値,固有ベクトル,対角化,行列のn乗(まとめ)[例と解]
1.
** 1題目だけ基本事項の復習を兼ねた解説とする **について (1) 固有値と固有ベクトルを求めよ. (2) 対角化せよ. (3) (1) 行列 (1)式において,ベクトル (1)式は次の形に書ける すなわち すなわち (5)は行列 固有値は 固有値が したがって,固有ベクトル の形に書けるベクトル(ただし, 固有値が したがって,固有ベクトル の形に書けるベクトル(ただし, (2) 以上2組の固有値,固有ベクトルは,次の形に表せる これらは1つにまとめて次の形に書ける 両辺に右から (3) となり,さらに「対角行列のn乗は各成分のn乗となる」から |
2.
(1) 固有方程式を解くについて (1) 固有値と固有ベクトルを求めよ. (2) 対角化せよ. (3) 固有値は 固有値が 1つの固有ベクトルは 固有値が 1つの固有ベクトルは (2) 以上2組の固有値,固有ベクトルは,次の形に表せる これらは1つにまとめて次の形に書ける 両辺に右から (3) |
3.
(1) 固有方程式を解くについて (1) 固有値と固有ベクトルを求めよ. (2) 対角化せよ. (3) 固有値は 固有値が 1つの固有ベクトルは 固有値が 1つの固有ベクトルは (2) 以上2組の固有値,固有ベクトルは,次の形に表せる これらは1つにまとめて次の形に書ける 両辺に右から (3) |
4.
(1) 固有方程式を解くについて (1) 固有値と固有ベクトルを求めよ. (2) 対角化せよ. (3) 固有値は 固有値が 1つの固有ベクトルは 固有値が 1つの固有ベクトルは (2) 以上2組の固有値,固有ベクトルは,次の形に表せる これらは1つにまとめて次の形に書ける 両辺に右から (3) |
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