相関係数

※このページは，統計検定３級程度（高卒レベル）の教材です

1.　用語と記号

【例】
\( \displaystyle S_{xy}\!=\!\sum_{k=1}^n(x_k\!-\!\bar{x})(y_k\!-\!\bar{y}) \)･･･共変動（偏差積和）
\( \displaystyle S_x=\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})^2 \)･･･変動（偏差平方和）

【例】
\( \displaystyle s_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})(y_k-\bar{y}) \)･･･共分散
\( \displaystyle s_x=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})^2 \)･･･分散

【例】
\( \displaystyle \sigma_{xy}=\sqrt{\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})(y_k-\bar{y})} \)
\( \displaystyle \sigma_x=\sqrt{\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})^2} \)･･･標準偏差
\( \displaystyle \sigma_{xy}^2=s_{xy},\hspace{5px}\sigma_x^2=s_x \)
※なお，書物によっては，推測統計の公式として，標準偏差や分散の分母をn−1とする公式（不偏偏差，不偏分散）を扱うが，この教材では記述統計の公式として，標準偏差や分散の分母がnになっている方を使う．

各変数から平均値を引いた値
\( \displaystyle \Delta x_k=x_k-\bar{x} \)
\( \displaystyle \Delta y_k=y_k-\bar{y} \)

各々の変数から平均値を引いて，標準偏差で割った値に直すこと．これにより，標準化された変数の平均値は0，標準偏差は1になる．
\( \displaystyle x_k'=\frac{x_k-\bar{x}}{\sigma_x} \)

2.　n個の２次元の点と見たときの相関係数の意味

-図1-

-図2-

-図3-

上記のように，２つの偏差の積和を計算したものは，共変動と呼ばれるが，１つの変数の偏差の２乗の和を計算したものは変動（偏差平方和）と呼ばれる
\( \displaystyle S_x=\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})^2 \)
\( \displaystyle S_y=\sum_{k=1}^n(y_k-\bar{y})^2 \)

上記のように，２変数の積和の平均は，共分散と呼ばれるが，１つの変数の偏差の平方和の平均は分散と呼ばれる
\( \displaystyle s_{x}=\frac{1}{n}S_x \)すなわち\( \displaystyle s_x=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})^2 \)
\( \displaystyle s_{y}=\frac{1}{n}S_y \)すなわち\( \displaystyle s_{y}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(y_k-\bar{y})^2 \)

\( \displaystyle r_{xy}=\frac{s_{xy}}{\sigma_x\sigma_y} \)
\( \displaystyle r_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{x_k-\bar{x}}{\sigma_x}\cdot\frac{y_k-\bar{y}}{\sigma_y} \)･･･相関係数

【問題2.1】

-表1-

xk	yk
1	0
2	1
3	2
4	2
5	0

　右の表1に示された２つの変数x, yについて，次の値を求めてください．
　なお，小数になるときは，小数第３位を四捨五入して小数第２位まで求めてください．

（解答）
\( \displaystyle \bar{x}=3,\hspace{3px}\bar{y}=1 \)を使って，次の表2を埋める

-表2-

\( \displaystyle x_k-\bar{x} \)	\( \displaystyle y_k-\bar{y} \)	\( \displaystyle (x_k-\bar{x})(y_k-\bar{y}) \)
−2	−1	2
−1	0	0
0	1	0
1	1	1
2	−1	−2

�@共変動
\( \displaystyle S_{xy}=\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})(y_k-\bar{y})=1 \)
�A共分散
\( \displaystyle s_{xy}=\frac{1}{n}S_{xy}=\frac{1}{5}=0.20 \)
�B相関係数
次の表3を埋めて，標準偏差を求める

-表3-

\( \displaystyle x_k-\bar{x} \)	\( \displaystyle y_k-\bar{y} \)	\( \displaystyle (x_k-\bar{x})^2 \)	\( \displaystyle (y_k-\bar{y})^2 \)
−2	−1	4	1
−1	0	1	0
0	1	0	1
1	1	1	1
2	−1	4	1
計		10	4

\( \displaystyle \sigma_x=\sqrt{\frac{1}{5}\times 10}=\sqrt{2} \)
\( \displaystyle \sigma_y=\sqrt{\frac{1}{5}\times 4}=\frac{2}{\sqrt{5}} \)
相関係数は
\( \displaystyle r_{xy}=\frac{s_{xy}}{\sigma_x\sigma_y}=\frac{\frac{1}{5}}{\sqrt{2}\times\frac{2}{\sqrt{5}}}=\frac{\sqrt{5}}{10\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{10}}{20}=0.16 \)
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【問題2.2】
　相関係数と共分散の符号はつねに一致するかどうか，根拠も示して答えてください．

（解答）
共分散は次の式で定義される
\( \displaystyle s_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})(y_k-\bar{y}) \)
相関係数は次の式で定義される
\( \displaystyle r_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{x_k-\bar{x}}{\sigma_x}\cdot\frac{y_k-\bar{y}}{\sigma_y} \)
共分散を標準偏差\( \displaystyle \sigma_x,\hspace{5px}\sigma_y \)で割ったものが相関係数で，標準偏差は正だから，相関係数と共分散の符号はつねに一致する →閉じる←

【問題2.3】
　共分散が大きくなると，相関係数も大きくなるといえるかどうか，根拠も示して答えてください．

（解答）
共分散は次の式で定義される
\( \displaystyle s_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})(y_k-\bar{y}) \)
相関係数は次の式で定義される
\( \displaystyle r_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{x_k-\bar{x}}{\sigma_x}\cdot\frac{y_k-\bar{y}}{\sigma_y} \)
共分散を標準偏差\( \displaystyle \sigma_x,\hspace{5px}\sigma_y \)で割ったものが相関係数だから，共分散が大きくなるときに標準偏差も大きくなれば，相関係数が大きくなるとは言えない →閉じる←

3.　線形変換による影響

xk'=axk+b
yk'=cyk+dという線形変換を行ったとき

［平均］\( \displaystyle \bar{x} \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle \bar{x'}=a\bar{x}+ b \)･･･�@
\( \displaystyle \bar{y} \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle \bar{y'}=c\bar{y}+ d \)･･･�A

（解説）
\( \displaystyle \bar{x}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^nx_k,\hspace{10px}x_k'=ax_k+ b \)のとき
\( \displaystyle \bar{x'}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^nx_k'=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(ax_k+ b) \)
\( \displaystyle =a\cdot\frac{1}{n}\sum_{k=1}^nx_k+\frac{1}{n}\cdot nb=a\bar{x}+ b \)
（例）
\( \displaystyle \bar{x}=2,\hspace{10px}x_k'=3x_k+4 \)のとき\( \displaystyle \bar{x'}=3\times 2+ 4=10 \)

［yについても同様に示される］

［変動］\( \displaystyle S_x \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle S_x'=a^2S_x \)･･･�B
\( \displaystyle S_y \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle S_y'=c^2S_y \)･･･�C

（解説）
\( \displaystyle S_x=\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})^2,\hspace{10px}x_k'=ax_k+ b \)のとき
\( \displaystyle S_x'=\sum_{k=1}^n(x_k'-\bar{x'})^2=\sum_{k=1}^n\Big\{ax_k+ b-(a\bar{x}+ b)\Big\}^2 \)
\( \displaystyle =\sum_{k=1}^n(ax_k-a\bar{x})^2=a^2\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})^2 \)
（例）
\( \displaystyle S_x=10,\hspace{10px}x_k'=2x_k+ 3 \)のとき\( \displaystyle S_x'=2^2\times 10=40 \)

［yについても同様に示される］

［分散］\( \displaystyle s_x \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle s_x'=a^2s_x \)･･･�D
\( \displaystyle s_y \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle s_y'=c^2s_y \)･･･�E

（解説）
\( \displaystyle s_x=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})^2,\hspace{10px}x_k'=ax_k+ b \)のとき
\( \displaystyle s_x'=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k'-\bar{x'})^2=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\{ax_k+ b-(a\bar{x}+ b)\}^2 \)
\( \displaystyle =\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(ax_k-a\bar{x})^2=a^2\cdot\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})^2 \)
（例）
\( \displaystyle s_x=30,\hspace{10px}x_k'=2x_k+ 3 \)のとき\( \displaystyle s_x'=2^2\times 30=120 \)

［yについても同様に示される］

［標準偏差］\( \displaystyle \sigma_x \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle \sigma_x'=a\sigma_x \)･･･�F
\( \displaystyle \sigma_y \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle \sigma_y'=c\sigma_y \)･･･�G

（解説）
分散の解説より
\( \displaystyle s_x'=a^2s_x \)
だから
\( \displaystyle \sigma_x'^2=a^2\sigma_x^2 \)
\( \displaystyle \sigma_x'=|a|\sigma_x\hspace{15px}(\sigma_x',\hspace{2px}\sigma_x\geqq 0) \)
（例）
\( \displaystyle \sigma_x=5,\hspace{10px}x_k'=-2x_k+3 \)のとき
\( \displaystyle \sigma_x'=2\times 5=10 \)

［yについても同様に示される］

［共変動］\( \displaystyle S_{xy} \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle S_{xy}'=acS_{xy} \)･･･�H

（解説）
\( \displaystyle S_{xy}=\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})(y_k-\bar{y}) \)
\( \displaystyle x_k'=ax_k+ b,\hspace{5px}y_k'=cy_k+ d \) のとき
\( \displaystyle S_{xy}'=\sum_{k=1}^n(x_k'-\bar{x}')(y_k'-\bar{y}') \)
\( \displaystyle =\sum_{k=1}^n\Big\{ax_k+ b-(a\bar{x}+ b)\Big\}\Big\{cy_k+ d-(c\bar{y}+ d)\Big\} \)
\( \displaystyle =\sum_{k=1}^n\Big\{a(x_k-\bar{x})\Big\}\Big\{c(y_k-\bar{y})\Big\} \)
\( \displaystyle =ac\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})(y_k-\bar{y}) \)
（例）
\( \displaystyle S_{xy}=100,\hspace{5px}x_k'=2x_k+ 3,\hspace{5px}y_k'=4y_k+ 5 \)のとき
\( \displaystyle S_{xy}'=2\times 4\times 100=800 \)

［共分散］\( \displaystyle s_{xy} \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle s_{xy}'=acs_{xy} \)･･･�I

（解説）
\( \displaystyle s_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})(y_k-\bar{y}) \) \( \displaystyle x_k'=ax_k+ b,\hspace{5px}y_k'=cy_k+ d \) のとき
\( \displaystyle s_{xy}'=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k'-\bar{x}')(y_k'-\bar{y}') \)
\( \displaystyle =\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\Big\{ax_k+ b-(a\bar{x}+ b)\Big\}\Big\{cy_k+ d-(c\bar{y}+ d)\Big\} \)
\( \displaystyle =\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\Big\{a(x_k-\bar{x})\Big\}\Big\{c(y_k-\bar{y})\Big\} \)
\( \displaystyle =ac\cdot\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n(x_k-\bar{x})(y_k-\bar{y}) \)
（例）
\( \displaystyle s_{xy}=10,\hspace{5px}x_k'=2x_k+ 3,\hspace{5px}y_k'=4y_k+ 5 \)のとき
\( \displaystyle s_{xy}'=2\times 4\times 10=80 \)

［相関係数］\( \displaystyle r_{xy} \)\( \displaystyle \Longrightarrow \)\( \displaystyle r_{xy}'=r_{xy} \)･･･�J

（解説）
\( \displaystyle r_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{(x_k-\bar{x})}{\sigma_x}\cdot\frac{(y_k-\bar{y})}{\sigma_y} \)
\( \displaystyle x_k'=ax_k+ b,\hspace{5px}y_k'=cy_k+ d \) のとき
\( \displaystyle r_{xy}'=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{(x_k'-\bar{x}')}{\sigma_x'}\cdot\frac{(y_k'-\bar{y}')}{\sigma_y'} \)
\( \displaystyle =\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{\Big\{ax_k+ b-(a\bar{x}+ b)\Big\}}{a\sigma_x}\cdot\frac{\Big\{cy_k+ d-(c\bar{y}+ d)\Big\}}{c\sigma_y} \)
\( \displaystyle =\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{a(x_k-\bar{x})}{a\sigma_x}\cdot\frac{c(y_k-\bar{y})}{c\sigma_y} \)
\( \displaystyle =\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{x_k-\bar{x}}{\sigma_x}\cdot\frac{y_k-\bar{y}}{\sigma_y} \)
（例）
\( \displaystyle r_{xy}=0.6,\hspace{5px}x_k'=2x_k+ 3,\hspace{5px}y_k'=4y_k+ 5 \)のとき
\( \displaystyle r_{xy}'=0.6 \)

【問題3.1】
　各々10件の測定値からなる２つの変数x, yの相関係数が0.4であったとき，測定値を訂正してx, yのすべての値に1を加えた場合，相関係数はどう変わりますか．正しいものを次の選択肢から選んでください．

（解説）
\( \displaystyle r_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{x_k-\bar{x}}{\sigma_x}\cdot\frac{y_k-\bar{y}}{\sigma_y} \)
に対して，xk'=xk+1，yk'=yk+1という線形変換を行ったとき
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【問題3.2】
　各々10件の測定値からなる２つの変数x, yの相関係数が0.4であったとき，測定値を訂正してxのすべての値を2倍し，yの値をそのまま使用した場合，x, yの相関係数はどのような値になりますか．正しいものを次の選択肢から選んでください．

（解説）
\( \displaystyle r_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{x_k-\bar{x}}{\sigma_x}\cdot\frac{y_k-\bar{y}}{\sigma_y} \)
に対して，xk'=2xkという線形変換を行ったとき
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【問題3.3】
　各々10件の測定値からなる２つの変数x, yの相関係数が0.4であったとき，変数x, yを基準化してx’, y’に変えた場合，相関係数はどのような値になりますか．正しいものを次の選択肢から選んでください．

（解答）
\( \displaystyle r_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^n\frac{x_k-\bar{x}}{\sigma_x}\cdot\frac{y_k-\bar{y}}{\sigma_y} \)･･･(1)
　相関係数はそれ自体が基準化の計算なので，変数を基準化してから，相関係数を求めても変化しない．
　すなわち
\( \displaystyle x_k'=\frac{x_k-\bar{x}}{\sigma_x},\hspace{5px}y_k'=\frac{y_k-\bar{y}}{\sigma_y} \)･･･(2)
とおくと，新しい変数\( \displaystyle x_k',\hspace{5px}y_k' \)の平均値は0，標準偏差は1になるから，相関係数は
\( \displaystyle r_{x' y'}=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^nx_k' y_k' \)
これは(1)(2)により\( \displaystyle r_{xy} \)に等しい．
したがって「変化しない」･･･�Aが答
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4.　散布図と相関係数のイメージ

r=1.0の場合の散布図［例］

r=0.6の場合の散布図［例］

r=0.3の場合の散布図［例］

r=0.0の場合の散布図［例］

r=−0.3の場合の散布図［例］

r=−0.6の場合の散布図［例］

r=−1.0の場合の散布図［例］

【問題4.1】
　ほとんど相関関係が見られない（r≒0）１つの集団を２つに分けたとき，それぞれの集団で相関関係が認められることがあるかどうか，根拠も示して答えてください．

（解答）
　全体としては，ほとんど相関関係が見られない分布を，右図のように２つの集団に分けると，集団A，集団Bとも強い負の相関が見られる．

　また，右図のように２つの集団に分けると，集団A，集団Bとも強い正の相関が見られる．
　このように，分け方次第で分けられた集団に相関が生じることがある．
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【問題4.2】
　正の相関がある１つの集団を２つに分けたとき，２つの集団とも負の相関が見られることがあるかどうか，根拠も示して答えてください．

（解答）
　全体としては，正の相関がある分布を，右図のように２つの集団に分けると，集団A，集団Bとも負の相関が見られる．
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【問題4.3】
　高校３年生の１学級40人の身長と体重の相関について，男女別に相関係数を求める方が，学級全体で相関係数を求めるよりも，つねに相関が強くなるという考えについて，正しいかどうか根拠も示して答えてください．

（解答）
　例えば右のグラフの場合，男子が身長も体重も大きいので，学級全体では相関が強く出るが，男女別では相関は大きくない．
　だから，この考えは正しくない．
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【問題4.4】
　ある学級40人の1学期中間試験国語の得点について，男子20人の得点の標準偏差が15.0，女子20人の得点の標準偏差も15.0であるとき，この学級全体の得点の標準偏差も15.0に等しいかどうか，根拠も示して答えてください．

（解答）
男子と女子の平均値が異なる場合，上図のように全体の標準偏差は大きくなる．
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5.　２つのn次元ベクトルと見たときの相関係数の意味

　共変動は，「偏差を成分とするベクトル」の「内積」に対応する．
　すなわち
\( \displaystyle \vec{a}=(x_1-\bar{x},\hspace{2px}x_2-\bar{x},\hspace{2px}\cdots,\hspace{2px}x_n-\bar{x}) \)
\( \displaystyle \vec{b}=(y_1-\bar{y},\hspace{2px}y_2-\bar{y},\hspace{2px}\cdots,\hspace{2px}y_n-\bar{y}) \)
とするとき
\( \displaystyle \vec{a}\cdot\vec{b}=(x_1-\bar{x})(y_1-\bar{y})+(x_2-\bar{x})(y_2-\bar{y})+ \)
\( \displaystyle \cdots+(x_n-\bar{x})(y_n-\bar{y}) \)
だから，\( \displaystyle S_{xy}=\vec{a}\cdot\vec{b} \)

ベクトルの大きさで割る

　相関係数は，「ベクトルのなす角」（の余弦）に対応する．
　すなわち
\( \displaystyle r_{xy}=\frac{\vec{a}\vec{b}}{|\vec{a}|\cdot|\vec{b}|} \)

【問題5.1】　（★むずかしい）
　ある学級の生徒40人について，１学期中間試験の国語，数学，英語の得点の相関係数を調べた．
　国語と数学の得点の相関係数が\( \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2} \)，数学と英語の得点の相関係数が\( \displaystyle \frac{\sqrt{2}}{2} \) のとき，英語と国語の得点の相関係数のとり得る値の範囲を調べてください．

（解説）
国語の得点を\( \displaystyle (x_1,\hspace{2px}x_2,\hspace{2px}\cdots,\hspace{2px}x_n) \)として，その平均を\( \displaystyle \bar{x} \)で表し，\( \displaystyle \vec{x}=(x_1-\bar{x},\hspace{2px}x_2-\bar{x},\hspace{2px}\cdots,\hspace{2px}x_n-\bar{x}) \)とおく．
同様にして，数学，英語を各々
\( \displaystyle \vec{y}=(y_1-\bar{y},\hspace{2px}y_2-\bar{y},\hspace{2px}\cdots,\hspace{2px}y_n-\bar{y}) \)，
\( \displaystyle \vec{z}=(z_1-\bar{z},\hspace{2px}z_2-\bar{z},\hspace{2px}\cdots,\hspace{2px}z_n-\bar{z}) \)とおく．
\( \displaystyle r_{xy}=\frac{\vec{x}\cdot\vec{y}}{|\vec{x}|\cdot|\vec{y}|}=\frac{\sqrt{3}}{2} \)
\( \displaystyle r_{yz}=\frac{\vec{y}\cdot\vec{z}}{|\vec{y}|\cdot|\vec{z}|}=\frac{\sqrt{2}}{2} \)
相関係数は偏差ベクトルのなす角（の余弦）であるから
\( \displaystyle \cos\alpha=\frac{\sqrt{3}}{2},\hspace{5px}\cos\beta=\frac{\sqrt{2}}{2} \)
とおくと，\( \displaystyle \vec{y} \)に対して\( \displaystyle \vec{x} \)と\( \displaystyle \vec{z} \)が反対側にある場合（図の\( \displaystyle \vec{x_1} \)）に\( \displaystyle \vec{x} \)と\( \displaystyle \vec{z} \)のなす角が最大に（=相関係数が最小に）なり，\( \displaystyle \vec{x} \)と\( \displaystyle \vec{z} \)が同じ側にある場合（図の\( \displaystyle \vec{x_2} \)）に\( \displaystyle \vec{x} \)と\( \displaystyle \vec{z} \)のなす角が最小に（=相関係数が最大に）なる．
ア）　\( \displaystyle \vec{x_1} \)の場合
イ）　\( \displaystyle \vec{x_2} \)の場合
したがって，
\( \displaystyle \frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4}\leqq r_{zx}\leqq\frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4} \)･･･（答）
（参考）
この問題ではα=30°，β=45°になっており，α+β=75°となる場合に相関係数が最小になり，β−α=15°となる場合に相関係数が最大になります． →閉じる←