1. 法線ベクトルによる平面の方程式
別のページにある目次2. 2つのベクトルで張られる平面の方程式 3. 3点を通る平面の方程式 4. 点と平面の距離 5. ヘッセの標準形 6. 2平面のなす角 7. 2平面の交角を二等分する平面
1. 1点を通り方向ベクトルに平行な直線の方程式
2. 1点を通り直線2に平行な直線1の方程式 3. 2点を通る直線の方程式 4. 点と直線の距離 5. 平行な2直線間の距離 6. ねじれの位置にある2直線間の距離 7. 直線の方向余弦 8. 2直線のなす角
1. 直線と平面の交点の座標
2. 2平面の交線の方程式 3. 直線と点を含む平面の方程式 4. 直線1を含み直線2と平行な平面の方程式 (交わる2直線を含む平面の方程式)
5. 直線を含み平面に垂直な平面の方程式(2点を通り平面に垂直な平面の方程式)
6. 直線と平面がなす角 |
【問題1.1】
解答を見る解答を隠す点を通り,法線ベクトルに垂直な平面の方程式を求めてください. …(答)
【問題1.2】
解答を見る解答を隠す点を通り,平面に平行な平面の方程式を求めてください.
平面に平行だから,法線ベクトルは(定数項の3は使わない)
…(答) |
【類題1.3】
解答を見る解答を隠す直線に垂直で点を通る平面の方程式を求めてください.
直線の方程式は
と書ける.この直線の方向ベクトルを求める平面の法線ベクトルとみなせばよいから,平面の方程式は すなわち …(答)
【類題1.4】
解答を見る解答を隠す点からおろした垂線との交点がとなる平面の方程式を求めてください.
点を通り,法線ベクトルに垂直な平面の方程式を考えればよい
…(答) |
2. 2つのベクトルで張られる平面の方程式
三次元空間において1点を通り,2つの1次独立なベクトル,で張られる平面の方程式
○ベクトル表示 ○媒介変数表示 ○行列式表示 ○スカラー三重積表示 |
【例題2】
(解答)…媒介変数を消去する方法(高校数学でできる答案)三次元空間において点を通り,2つのベクトル,によって張られる平面の方程式を求めてください. 媒介変数表示に直すと …(1) …(2) …(3) (2)+(3)によりs消去 …(4) (1)×4−(4)によりt消去 …(答) (別解1) …垂直条件から法線ベクトルを求める方法(高校数学でできる答案) 2つのベクトル,に垂直な法線ベクトルをとおく により …(1) により …(2) 連立方程式(1)(2)は未知数が3個,方程式が2個なので,不定解を持つ.そこで1文字rについては解かないことにして、p,qをrで表す. …(1’) …(2’) (1’)より,これを(2’)に代入すると, 結局, とすると …(答) (別解2) …ベクトルの外積を用いて法線ベクトルを求める方法(大学数学の答案) だから,これを平面の法線ベクトルとすると …(答) (別解3) …行列式の形で公式にしてしまう方法(大学数学の答案) 上記の別解2の方法を見ると,次のことが常に成り立つといえる
点を通り,2つのベクトル,によって張られる平面の方程式は
…(答) |
【問題2.1】
解答を見る解答を隠す三次元空間において点を通り,2つのベクトル,によって張られる平面の方程式を求めてください.
(解答)…媒介変数表示→媒介変数消去
を媒介変数表示に直すと
…(1)
…(2) …(3) (3)+(1)によりt消去 …(4) (2)−(3)×3によりt消去 …(5) (5)+(4)×3 …(答)
消去の仕方によっては
…(A) …(B) のようになることがあるが,(B)が解を表す.(A)はが任意の値を取れることを示しているが,制限のないことは数学の答案に書かなくてよいから,(B)だけで解になる. (別解1)…垂直条件から法線ベクトルを求める 2つのベクトル,に垂直な法線ベクトルをとおく により …(1) により …(2) 連立方程式(1)(2)は未知数が3個,方程式が2個なので,不定解を持つ.そこで1文字qについては解かないことにして,p,rをqで表す. …(1’) …(2’) (1’)(2’)より とすると …(答) (別解2) …ベクトルの外積を用いて法線ベクトルを求める方法(大学数学の答案) だから,これを平面の法線ベクトルとすると …(答) (別解3) …行列式の公式で解く方法(大学数学の答案) …(答) |
【問題2.2】
解答を見る解答を隠す三次元空間において点を通り,2つのベクトル,によって張られる平面の方程式を求めてください.
(解答)…媒介変数表示→媒介変数消去
を媒介変数表示に直すと …(1) …(2) …(3) (1)+(3)×2, (2)+(3)×2によりs消去 …(4) …(5) (4)÷3, (5)÷4によりt消去 …(答) (別解1)…垂直条件から法線ベクトルを求める 2つのベクトル,に垂直な法線ベクトルをとおく により …(1) により …(2) 連立方程式(1)(2)は未知数が3個,方程式が2個なので,不定解を持つ.そこで1文字rについては解かないことにして,p,qをrで表す. …(1’) …(2’) (1’)−(2’) これを(2’)に代入 とすると …(答) (別解2) …ベクトルの外積を用いて法線ベクトルを求める だから,これを平面の法線ベクトルとすると …(答) (別解3) …行列式の公式で解く …(答) |
別解2の方法を公式として次の形にまとめることができる. 同一直線上にない3点,,を通る平面は, 点を通り,2つのベクトル,で張られる平面に等しい. 3つのベクトル,,が同一平面上にある条件=1次従属である条件から
【3点を通る平面の方程式】
同じことであるが,この公式は次のように見ることもできる.同一直線上にない3点,,を通る平面の方程式は 2つのベクトル,で張られる平面の法線ベクトルは,これら2つのベクトルの外積で求められるから, 平面の方程式はと書ける.すなわち ベクトルのスカラー三重積については,次の公式がある. ,,のスカラー三重積は に等しい.そこで が成り立つ. (別解3) 3点,,を通る平面の方程式は すなわち すなわち |
4点,,,が平面上にあるとき …(0) …(1) …(2) …(3) が成り立つ.を未知数とする連立方程式と見たとき,この連立方程式がという自明解以外の解を持つためには …(A) この行列式に対して,各行から第2行を引く行基本変形を行うと この行列式を第4列に沿って余因子展開すると …(B) したがって,(A)と(B)は同値である.
【3点を通る平面の方程式】
同一直線上にない3点,,を通る平面の方程式は …(A) これは,次の形で書いてもよい. …(B) |
【例題3.2】
(解答1)同一直線上にない3点,,を通る平面の方程式を求めてください. 行基本変形を行ってから余因子展開する 第1行,第2行,第3行から各々第4行を引く 第4列に沿って余因子展開する 第1行に沿って余因子展開する …(答) (解答2) 第1行に沿って余因子展開する …(答) |
【問題3.1】
解答を見る解答を隠す同一直線上にない3点,,を通る平面の方程式を求めてください.
(解答1)
第1,2,3行から第4行を引く 第4列に沿って余因子展開する 第1行に沿って余因子展開する …(答) (解答2) …(答) |
【問題3.2】
解答を見る解答を隠す同一直線上にない3点,,を通る平面の方程式を求めてください.
(解答1)
第1,2,3行から第4行を引く 第4列に沿って余因子展開する 第1行に沿って余因子展開する …(答) (解答2) …(答) |
【類題3.3】
解答1を見る解答1を隠す原点O(0, 0, 0)を通り,直線を含む平面の方程式を求めてください.
A.[高校数学の範囲で解く場合]
解答2を見る解答2を隠す《3点を通る平面の方程式》として解く 直線上から2つの点を選び,原点と合わせて3つの点を通る平面の方程式として求める において,t=0, 1を代入すると,(4, −3, 2), (6, 0, 3) そこで,3点O(0, 0, 0), A(4, −3, 2), B(6, 0, 3)を通る平面の方程式を ax+by+cz+d=0とおき,係数a, b, c, dを求める(定数倍を除いて定める)
(見やすくまとめる)
原点Oを通るからd=0…(1) 4a−3b+2c=0…(2') 2a+c=0…(3') ↓d=0だからd以外の1文字(a≠0)を媒介変数として表す d=0…(1) c=−2a…(3") 4a−3b+2(−2a)=0…(2") d=0…(1) 点A(4, −3, 2)を通るから 4a−3b+2c+d=0…(2) 点B(6, 0, 3)を通るから 6a+3c+d=0…(3) b=0, c=−2a, d=0 平面の方程式は ax−2az=0(a≠0) したがって,x−2z=0…(答)
B.[高校数学の範囲で解く場合]
《1点と平面上の2つのベクトルから求める問題》として解く 直線の方向ベクトルは求める平面に含まれる.さらに,原点O(0, 0, 0)とこの直線上の点A(4, −3, 2)を結ぶベクトルも平面に含まれる. そこで,原点O(0, 0, 0)を通り,2つのベクトル,によって張られる平面の方程式として求める. 2つの媒介変数s, tを用いて,次の形に書ける (x, y, z)=s(2, 3, 1)+t(4, −3, 2) ↑↓ x=2s+4t…(1) y=3s−3t…(2) z=s+2t…(3) ↓ (3)よりs=z−2tとして,(1)(2)のsを消去する x=2(z−2t)+4t=2z…(1') y=3(z−2t)−3t=3z−9t…(2') ↓ x=2z(yは任意の値)…(答)
【類題3.4】
解答1を見る解答1を隠す2点A(1, 2, 3), B(1, 0, 1)を通り,平面x+y+z+1=0に垂直な平面の方程式を求めてください.
2つの平面のなす角は,それぞれの法線ベクトルのなす角に等しい(ただし,高校では0°〜90°で答える.)
解答2を見る解答2を隠す平面x+y+z+1=0の法線ベクトルを,,2点ABを結ぶベクトルを,求める平面の法線ベクトルをとおくと により −2b−2c=0…(1) により a+b+c=0…(2) (1)(2)より a=0, b=−c 求める平面の法線ベクトルは,(0, −1, 1)とおける. 点A(1, 2, 3)を通り法線ベクトル(0, −1, 1)に垂直な平面の方程式は 0(x−0)−1(y−2)+1(z−3)=0 −y+z−1=0 y−z+1=0…(答)
求める平面の方程式をax+by+cz+d=0とおくと
A(1, 2, 3)を通るから a+2b+3c+d=0…(1) B(1, 0, 1)を通るから a+c+d=0…(2) 平面x+y+z+1=0の法線ベクトルと平面ax+by+cz+d=0の法線ベクトルは垂直だから a+b+c=0…(3) (1)(2)(3)からa,b,cをd(≠0)で表すと a=0, b=d, c=−d 平面の方程式は dy−dz+d=0 (d≠0) y−z+1=0…(答) |
◆平行な2直線を含む平面◆
【類題3.5】
解答1を見る解答1を隠す平行な2直線を含む平面の方程式を求めてください.
• 上の2点と上の1点を含む平面の方程式を求める
解答2を見る解答2を隠す• 直線上の点は s=0のとき,A(−1, 2, 0),s=1のとき,B(1, 5, 4) • 直線上の点は t=0のとき,C(1, −1, 2) • これらの3点A, B, Cを通る平面の方程式を求める. • 平面の方程式をax+by+cz+d=0とおく • 点A(−1, 2, 0)を通るから −a+2b+0+d=0…(1) 点B(1, 5, 4)を通るから a+5b+4c+d=0…(2) 点C(1, −1, 2)を通るから a−b+2c+d=0…(3) a, b, c, dは定数倍を除いて決まるから,(1)(2)(3)の連立方程式を3文字a, b, cを未知数として解く(dについては解かない) −a+2b=(−d)…(1') a+5b+4c=(−d)…(2') a−b+2c=(−d)…(3') (2')−2×(3')によりcを消去するなどして・・・解くと ・・・(答)
• 上の1点と上の2点を含む平面の方程式を求める
解答3を見る解答3を隠す• 直線上の点は s=0のとき,A(−1, 2, 0) • 直線上の点は t=0のとき,B(1, −1, 2), t=1のとき,C(3, 2, 6) • これらの3点A, B, Cを通る平面の方程式を求める. • 平面の方程式をax+by+cz+d=0とおく • 点A(−1, 2, 0)を通るから −a+2b+0+d=0…(1) 点B(1, −1, 2)を通るから a−b+2c+d=0…(2) 点C(3, 2, 6)を通るから 3a+2b+6c+d=0…(3) a, b, c, dは定数倍を除いて決まるから,(1)(2)(3)の連立方程式を3文字a, b, cを未知数として解く(dについては解かない) −a+2b=(−d)…(1') a−b+2c=(−d)…(2') 3a+2b+6c=(−d)…(3') (2')−2×(3')によりcを消去するなどして・・・解くと ・・・(答)
• 平面を張るベクトルとして,1つはを選ぶ
• もう1つとして2点A(−1, 2, 0),B(1, −1, 2)を結ぶベクトルを選ぶ • 求める平面の法線ベクトルは,になる • • 点A(−1, 2, 0)を通り,法線ベクトルに垂直な平面の方程式は 9(x+1)+2(y−2)−6z=0 9x+2y−6z+5=0・・・(答) |
◆交わる2直線を含む平面◆
【類題3.6】
解答1を見る解答1を隠す交わる2直線を含む平面の方程式を求めてください.
• 直線 L1:と
解答2を見る解答2を隠す直線 L2:について 共有点A(1, 2, 3),L1上の点B(3, 5, 7),L2上の点C(2, 4, 6)の3点を通る平面の方程式として解く • 求める平面の方程式をax+by+cz+d=0とおくと,3点A(1, 2, 3), B(3, 5, 7), C(2, 4, 6)を通るから,次の連立方程式が成り立つ a+2b+3c+d=0…(1) 3a+5b+7c+d=0…(2) 2a+4b+6c+d=0…(3) • d=0となるので,cを用いてa, bを表すと,解は a=c, b=−2c, d=0 • 平面の方程式は cx−2cy+cz=0(c≠0) x−2y+z=0・・・(答)
• 1点A(1, 2, 3)を通り,2つのベクトルによって張られる平面と考えると,法線ベクトルは
• 平面の方程式は −(x−1)+2(y−2)−(z−3)=0 x−2y+z=0・・・(答) |
(図解) そもそも平面の方程式がだったら,の値は0じゃないのか?そもそも何が問題なのかという初歩的な疑問を持っている人へ しかし,例えば図の点P0は平面上にないので,一般にはの値は0にはなりません.図に示したように,平面からの距離に関係のある数字の縞模様となって並びます.ただし,から見て,平面の法線ベクトルと同じ向きにあれば正の値(1, 2, 3, …),逆向きに進んだ場所にあれば負の値(−1, −2, …)になるので,距離を表わすためには,絶対値を付けて とします. さらに,と並んでいる平面の間隔が1目盛り当たりになっているので,実際の距離は になります. |
(別の証明) 右図においてPHを含む平面がで,平面外の一点がP0であるとする.このとき,点P0と平面とに距離として,P0Hを求めればよい. ところで,2つのベクトルの内積は となるが,ここで であるから そこで,平面の法線ベクトルの代わりに,その大きさで割って単位ベクトルにしたもの との内積をとれば, となって,点と平面の距離(符号は付いている)に等しくなる. より ここでだから 負の値になれば正に変えるものとして,絶対値を付けると,公式が得られる. |
【例題】
(解答)(1) 点(1, 2, 3)から平面3x+4y+5z−1=0に引いた垂線の長さを求めよ. (2) 点P(2, −3, 0)と平面x+2y−2z+1=0との距離を求めよ. (3) 原点O(0, 0, 0)と平面x+y−z+3=0との距離を求めよ. (1) (2) (3)
【例題】
(解答)(1) 平行な2平面3x−4y+5z+1=0, 3x−4y+5z−1=0の間の距離を求めよ. (2) 平行な2平面の間の距離を求めよ. (1) 平面3x−4y+5z+1=0上の1点を適当に選ぶ. 例えば(1, 1, 0) 次に,その点と平面3x−4y+5z−1=0の間の距離を求めるとよい. (2) 平面上の1点を適当に選ぶ. 例えば(−1, 0, 0) 次に,その点と平面の間の距離を求めるとよい. |
【ヘッセの標準形】
(1) xy平面において,原点から直線に下ろした垂線の長さをh,垂線とx軸の正の向きとのなす角をαとすると,直線の方程式は …(1.1) 垂線とx軸の正の向きとのなす角をα,y軸の正の向きとのなす角をβとすると …(1.2) (1.1)(1.2)をヘッセの標準形という. …(2.1) (2.1)をヘッセの標準形という. |
【問題6.1】
解答を見る解答を隠す2平面のなす角を求めてください.
法線ベクトルは各々
これらの法線ベクトルのなす角を求めると 高校数学では…(答) 大学数学では…(答)
【問題6.2】
解答を見る解答を隠す2平面のなす角を求めてください.
法線ベクトルは各々
これらの法線ベクトルのなす角を求めると …(答)
【問題6.3】
解答を見る解答を隠す2平面のなす角の余弦を求めてください.
法線ベクトルは各々
これらの法線ベクトルのなす角を求めると 高校数学では…(答) 大学数学では…(答) |
7. 2平面の交角を二等分する平面
2平面,が交わる角度を二等分する平面は,右図のように2平面からの距離が等しい点の軌跡となるからが求める平面の方程式である. |
【例題7】
(解答)2平面について,次のものを求めてください. (1) 交線の方程式 (2) 二平面が交わる角度を二等分する平面の方程式 (1) 例えばとすれば,これら2平面上にある1つの点の座標が求められる. 次に,2平面の法線ベクトルは各々, だから,それらの外積が交線の方向ベクトルになる. したがって,を交線の方向ベクトルに選べる. を通り,方向ベクトルに平行な方程式は …(答) (2) より ()…(答) (参考) 交線の向きは図の平面に対して垂直な向きとする ○とは垂直 ○とは垂直 ○とは垂直 ○とは垂直 ○とは垂直 ○は,および交線の上にある |