○この頁に登場する【問題】は,公益社団法人日本技術士会のホームページに掲載されている「技術士第一次試験過去問題 共通科目A 数学」の引用です.(=公表された著作物の引用)
○【解説】は個人の試案ですが,Web教材化にあたって「問題の転記ミス」「考え方の間違い」「プログラムの作動ミス」などが含まれる場合があり得ます. 問題や解説についての質問等は,原著作者を煩わせることなく,当Web教材の作成者(<浅尾>)に対して行ってください.
【逆三角関数】
○ y=sinxのグラフは,次の図のようになります.
・xの範囲に制限がなければ,一つの与えられたyの値に対して,sinx=yとなるxの値は無数に存在しますが,
○ y=cosxのグラフは,次の図のようになります.−≦x≦
(赤で示した部分)に制限すれば,xの値はただ1通りに定まります.・区間−≦x≦において,sinx=αを満たす値を主値といい,x=sin−1αで表します.(アークサイン アルファと読む)
初歩的な注意として,sin−1αはとは
関係なく,sinxの逆関数を表す専用の記号となっており,sinnαの逆関数をsin−2αと書くなどと新たに定義しない限りsin−2αなどは定義されていません.
【例】(cos−1α,tan−1αについても同様) (1) sin=だから,sin−1=です. (2) sin−1とは,sinα=となる角αのことです. (−≦α≦)
同様にして,sin−1とは,sinβ=となる角βのことです.(−≦β≦)
・xの範囲に制限がなければ,一つの与えられたyの値に対して,cosx=yとなるxの値は無数に存在しますが,
0≦x≦π
(赤で示した部分)に制限すれば,xの値はただ1通りに定まります.・区間0≦x≦πにおいて,cosx=αを満たす値を主値といい,x=cos−1αで表します. 【例】 (1) cos=だから,cos−1=です. (2) α=cos−1 ⇔ cosα=(0≦α≦π) 同様に,β=cos−1 ⇔ cosβ=(0≦β≦π) したがって, cos−1+cos−1=α+β=+= などと計算できます. αとβが各々主値において確定すればよく,α+βの値の範囲はそれらを使って単純に計算すればよい. |
cos α=(0≦α≦π)のとき
sin 2α=2 sinα cosα ←2倍角公式
ここで、三角関数の相互関係 sin2α+cos2α=1により
sinα==(0≦α≦πにより(sinα≧0)) したがって sin 2α=2××= →5 |
○ y=tanxのグラフは,次の図のようになります.
・xの範囲に制限がなければ,一つの与えられたyの値に対して,tanx=yとなるxの値は無数に存在しますが,
−<x<
(赤で示した部分)に制限すれば,xの値はただ1通りに定まります.・区間−<x<において,tanx=αを満たす値を主値といい,x=tan−1αで表します. 【例】 (1) tan=1だから,tan−11=です. (2) α=tan−1 ⇔ tanα=(−<α<) 同様に,β=tan−1 ⇔ tanβ=(−<β<) したがって, tan−1+tan−1=α+β=+=
cos α=(0≦α≦π)とおくと
sin−1x=α= ⇔ x=sinα
ここで、三角関数の相互関係 sin2α+cos2α=1により
sinα==(0≦α≦πにより(sinα≧0)) →4 |
tan α=+2, tan β=−2(−<α, β<)とおくと
三角関数の加法定理により
tan(α+β)===
ここで,0<α<, −<β<0
だから −<α+β< α+β=→4 |
sin α=(−≦α≦)→ α=
cos β=−(0≦β≦π)→ β= tan γ=1(−<γ<)→ γ= したがって α+β+γ=++=π→4 |
sin α=(−<α<) のとき 0<α<
三角関数の相互関係 sin2α+cos2α=1により
cosα==((0<α<)により cosα>0 ) したがって tanα=== →3 |
平成21年度技術士第一次試験問題[共通問題]
【数学】V-2 3つの値sin−1, cos−1, tan−1について, 次の大小関係のうち正しいものはどれか. 1cos−1<sin−1<tan−1 2cos−1<tan−1<sin−1 3tan−1<cos−1<sin−1 4sin−1<tan−1<cos−1 5sin−1<cos−1<tan−1 解説
sin α=(−≦α≦) のとき α=
cos β=(0≦α≦π) のとき β=
tan γ=(−<α<) のとき
<<だから β=<γ<=α したがって cos−1<tan−1<sin−1 →2 |
α=sin−1(−1)とおくと
sinα=−1(−≦α≦) → α=− β=cos−1(−1)とおくと cosβ=−1(0≦β≦π) → β=π γ=tan−1(−1)とおくと tanγ=−1(−<γ<) → γ=− したがって α+β+γ=−+π−= →4 |
α=cos−1とおくと
cosα=(0≦α≦π) このとき sin(cos−1)=sinα== (>0) →5 |
α=tan−1(2+)とおくと
tanα=2+ (−<α<) tanα>0により0<α< β=tan−1(2−)とおくと tanβ=2− (−<β<) tanβ<0により−<β<0 このとき −<α+β<であって,かつ tan(α+β)= ===1 α+β= →4 |
【逆三角関数の性質】
(1.1)
のとき ※この性質は,ある関数とその逆関数を合成すると恒等関数 I(x)=x になるということを示している.
(1.2)
のとき ※(1.1)と同様,ある関数とその逆関数を合成すると恒等関数 I(x)=x になるということを示している.
(1.3)
のとき ※(1.1)(1.2)と同様,ある関数とその逆関数を合成すると恒等関数 I(x)=x になるということを示している. |
(2.1)
三角関数の公式 …(1) により のとき だから この式はのときは,右図のような直角三角形を考えれば分かるが,のときでも,(1)が成り立つから式は正しい.
(2.2)
三角関数の公式 …(2) により のとき だから この式はのとき,右図のような直角三角形を考えれば分かる.
(2.3)
のとき この式はのとき,右図のような直角三角形を考えれば分かる. |
(3.1)
(解説)右図において だから が成り立つ.
(3.2)
(解説)右図において だから が成り立つ.
(3.3)
右図において だから が成り立つ. |
(4.1)
(解説)のとき だから が成り立つ
(4.2)
(解説)のとき だから が成り立つ
(4.3)
(解説)のとき だから が成り立つ |
マクローリン級数を用いて,πを高精度で計算するときなどに利用される定数
(5.1)
(解説)(オイラー)
正接の加法定理 に,となる角度を代入すると となるから が成り立つ.
(5.2)
(解説)(マチン)
正接の2倍角公式 に,となる角度を代入すると さらにもう一度,2倍角公式を適用すると 次に,となる角度を考え,正接の加法定理 にこれらの角度を代入すると したがって
一般に,整数nに対して次の式が成り立つ
(解説)(5.3) 正接の加法定理 に,となる角度を代入すると となるから が成り立つ. n=1, 2のときはオイラーの公式になる. n=3, 4, 5, 6, ...を代入すると |
(その他)
(6.1)
(解説)のとき だから
(6.2)
(解説)…(1)のとき だから …(2) (2)により (1)(2)より…(3) (1)より (3)より したがって, |
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