礼節謙譲の精神 --

1997/09/08 ソーブル・ナオ



礼節謙譲の精神
人にして礼節をみだり謙譲の心なくんば社会の秩序は整わざるべし、
正しき礼儀と謙譲の徳の存する処、社会を情操的に美化せしめ、
以て潤いある人生を現出し得るものなり。

「ご契約ありがとうございます」 その言葉で一方は「始まり」を感じ他方は「終わり」を感じる。 それは言うまでもなくお客と営業マンの心境だが、購買心理として 営業マンの影響は多大でその彼を信じ契約したのだからそれだけにお客の期待も大きいものだ。 ところが当の本人にはノルマがドーンと課せられ、気持ちはもう既に次の追込み客に向いている場合が多い。 そして夢のマイホームが着工する随分以前に工事担当へとバトンタッチされる。 それから接客するのは仕様決めや図面承認上棟式など節目ごととなり、 営業マンを信じて契約したい客は不満の募るところだろう。その気持ちは多少では有るが当の営業マンにもあり、 お客に対しては申し訳ないという気持ちで接することとなる。 それがお客にとって礼節謙譲に感じ営業マンの信頼が増す結果となる。 かわいそうなのが工事担当、日ごろ営業マンの尻拭いをしているわりにお客の受けが悪い。 大事な節目でも背広も着ないで泥のついた作業服。調子のいい営業マンはピシッと決まった背広姿に巧言令色。 挙げ句の果てにお客は「やっぱり00さんじゃないと」などと言葉をかける。 「イヤー私など何もやってませんよ」と調子のいい彼。 そこには工事担当を取り残した礼節謙譲の世界が在った。

リストへ戻る