RAPPORTって知恵のこと? --
1990/12/02 アバンチュール・ナオ
「はい僕どこの具合が悪いのかな?あー鼻水が出てるね、じゃあ大きく お口を開けて。あーん。」幼い頃風邪をひいて病院へ行った時聞かれた言 葉です。大人になった今でさえ、病院なんて出来るだけ行きたくない、まし て子供の時など何をされるかわかってものではないところへ喜んで行く わけがない。親に無理矢理連れて行かれ半ばふてくされている状態である。 ところがいざ病院へ行くと、とても優しい顔つきでゆっくり穏やかに症状 を聞いてくれるではないか、私はすっかり気を許して機嫌良く先生の質問 に答えていた。その時は勿論それは先生の人柄のせいだろうと思っていたが、 何年か前に読んだ本によってそれが先生の人柄だけではなく、ラポールと いう診察技法の一つと知った。 その言葉を借りて、トップセールスに対してラポール・マン或いはラポール ・ウーマンなんて呼び方をするという。我々は客の要望を聞き出すだけでは 契約は取れない、最適な提案をしなければならないという意味で、ハイソフト パーソン等という言葉を使っているが、基本になるのはやはりラポールでは ないかと思う。しかし気になるのは社内ラポールである。例え何か問題が生 じた際、関係者にその問題を説明し対策を講じようとする。私にその問題の 責任があった場合病院へ来た患者の立場となり、説明を聞く社員は医者の 立場になるのだが、残念ながらこの医者はとんでもない藪医者と言わなければ ならない。患者に対する態度はこうである。 「えっ風邪をひいただって、なぜもっと暖かくしていなかったんだ、この寒い 中そんな格好じゃね、君風邪に対する認識が足りないんじゃないの、毎年毎年 ひいてんだから少しは気をつけろよ。」中傷ばかりでこれでは何の問題の解決 にもならない。しかし、最近ではその中傷に対するための準備、つまり防衛 反応でその問題の相手の犯したミス、或いは第三者のミスを用意して説明に 挑むことにしている。その為日頃からあら探しをしておく必要がある。 無心教徒でありイデオロギーもないが一番知恵がないのかもしれない。