食塩水の濃度
《解説》
■ 2種類の食塩水を混ぜ合わせたときの食塩水の濃度を求める問題では,
が成り立ちます.
 水1+水2=水の合計 も成り立ちますが,食塩水の濃度は,「食塩の重さ÷水の重さ×100」 ではなく,「食塩の重さ÷食塩水の重さ×100」で定義されるので,問題も解答も「食塩水の重さ」で考えた方が普通の言い方に合います.(全体の重さのうち何%が食塩であるかを表わしているのが食塩水の濃度で,そのとき全体の重さは食塩+水になります.)
 上に書いた式では,食塩の重さが,第1式にも第2式にも入っていて奇妙に思うかもしれませんが,「食塩水の重さ」とは「食塩の重さ」+「水の重さ」なので,この形が問題を解く上で有利な形になります.

【 重要 】・・・これが分かれば,ほとんど解ける.これが分からないと,ほとんど解けない.
   食塩水の濃度を考えるときは,第1式にも第2式にも食塩の重さを入れる.・・・食塩を加えると,第1式も第2式も増える.水を加えると第2式だけが増える.食塩水を加えると第1式も第2式も増える.

■ 考えるときは,下の図のように,食塩と水を分けて想像した方が分かりやすいでしょう.

■ この場合,p(%)の食塩水x(g)と,q(%)の食塩水y(g)を混ぜて,A(%)の食塩水B(g)ができるとすれば,
 
食塩の量  → px÷100+qy÷100=AB÷100
   すなわち +qAB・・・(1)
食塩水全体 →   =・・・(2) 

が成り立ちます.方程式が2つありますので,x,yとも未知数でも解けることになります.


 12(%)の食塩水と7(%)の食塩水を混ぜて,10(%)の食塩水500(g)を作るには,12(%)の食塩水を何グラム混ぜればよいか.
(答案)
12(%)の食塩水x(g)と7(%)の食塩水y(g)を混ぜるとすると,
食塩の量  → 12x+7y=5000・・・(1)  (×100の式)
食塩水の量 → x + y=500・・・(2)
を解いて,x=300,y=200  ゆえに,300(g)・・・(答)


《問題1》 次の空欄に,正しい数字を入れなさい. 
(1) 
 濃度5(%)の食塩水と濃度10(%)の食塩水を混ぜて,濃度7(%)の食塩水500(g)を作るには,濃度5(%)の食塩水を何グラム混ぜればよいですか.

(g)

(2)
 濃度3(%)の食塩水と濃度6(%)の食塩水を混ぜて,濃度5(%)の食塩水300(g)を作るには,濃度3(%)の食塩水を何グラム混ぜればよいですか.

(g)

(3)
 濃度2(%)の食塩水と濃度8(%)の食塩水を混ぜて,濃度4(%)の食塩水150(g)を作るには,濃度2(%)の食塩水を何グラム混ぜればよいですか.

(g)

(4)
 濃度1(%)の食塩水と濃度10(%)の食塩水を混ぜて,濃度5(%)の食塩水450(g)を作るには,濃度1(%)の食塩水を何グラム混ぜればよいですか.

(g)

(5)
 濃度10(%)の食塩水と水を混ぜて,濃度7(%)の食塩水200(g)を作るには,濃度10(%)の食塩水を何グラム混ぜればよいですか.

(g)



《解説》
■ p(%)の食塩水x(g)と,q(%)の食塩水y(g)を混ぜて,A(%)の食塩水B(g)ができるとすれば,
 
食塩の量  → px÷100+qy÷100=AB÷100
   すなわち pxqyAB・・・(1)
食塩水全体 →   =・・・(2) 

が成り立ちます.

 x,y,Bのうち少なくとも1つを含む未知数2つの問題が解けることになり,未知数の組み合わせで,いろいろな問題ができます.

《問題2》 次の空欄に,正しい数字を入れなさい. 
(p,xが未知数)
(1) 
 ある濃度の食塩水Aと濃度13(%)の食塩水100(g)を混ぜて,濃度10(%)の食塩水400(g)ができた.食塩水Aの濃度と重さを求めなさい.

(%),(g)

(p,yが未知数)
(2)
 濃度p(%)の食塩水100(g)と濃度7(%)の食塩水y(g)を混ぜて,濃度6(%)の食塩水500(g)ができた.p,yを求めなさい.

p=(%),y=(g)

(p,Bが未知数)
(3)
 濃度p(%)の食塩水200(g)と濃度15(%)の食塩水150(g)を混ぜたら,濃度11(%)の食塩水ができた.pを求めなさい.

p=(%)

(x,Bが未知数)
(4)
 濃度4(%)の食塩水と濃度9(%)の食塩水50(g)を混ぜて,濃度4.5(%)の食塩水を作るには,濃度4(%)の食塩水を何グラム混ぜればよいですか.

(g)

(5)
 濃度12(%)の食塩水と水を混ぜて,濃度7(%)の食塩水240(g)を作るには,濃度12(%)の食塩水を何グラム混ぜればよいですか.

(g)




《読み物》いろいろな疑問
疑問1
  食塩1+食塩2=食塩の和 ・・・(1)      
  食塩水1の量+食塩水2の量=食塩水の和・・・(2)
 で連立方程式を作るのなら,
  水の量1+水の量2=水の和      ・・・(3)
 でも方程式は作れないのですか.
(お答えします:できますが,やはり(1)(2)の組が使いやすいのです.)
 水の量=食塩水の量−食塩の量 なので(1)(2)があるときに,さらに(3)を追加しても何も新しい事柄は出てきません.
逆に,食塩水の量=食塩の量+水の量なので,(1)(3)があるときに(2)を追加しても,何も新しい事柄は出てきません.
(正確には,(2)(3)から(1)も求まります.)
 だから,(1)(2)(3)のうち2つで連立方程式を作ります.
ここからが大切:
 しかし、「濃度を使って食塩の量が求められる」ことが重要なねらいなので,ほとんどの問題は,「食塩水の量」と「濃度」で書かれており,(1)(2)でやると簡単になるのです.
 
疑問2
 2つの食塩水の濃度が未知数の問題はないのですか.
(お答えします:そのときは濃度を「求めなさい」と言わずに,濃度の「関係を求めなさい」というはずです.)
 p(%)の食塩水x(g)と,q(%)の食塩水y(g)を混ぜて,A(%)の食塩水B(g)ができるとすれば,
食塩の量  → px÷100+qy÷100=AB÷100
   すなわち px+qy=AB・・・(1)
食塩水全体 → x+y  =B・・・(2)
が成り立ちます.ここで,p,qが未知数で,x,y,A,Bが与えられていると,
x+y=AB・・・(1)
(x+y  =B)・・・(2)
方程式は(1)だけで,未知数が2つあるので,答が決まらなくなります.
例 p(%)の食塩水100(g)と,q(%)の食塩水100(g)を混ぜて,5(%)の食塩水ができるとき,p,qを求めなさい.
  → 5(%)と5(%)でも,4(%)と6(%)でも,3(%)と7(%)でも...よい.
  → p+q=10 を満たすp,q(ただし,p,q>0)なら何でもよい.
 
疑問3
 計算とか,方程式でやると,いつも計算間違いをしてしまって答が合いません.図だけで答を出す方法はないのですか.
(ありますが↓,方程式の解き方も練習してください)
p(%)の食塩水x(g)と,q(%)の食塩水y(g)を混ぜて,A(%)の食塩水B(g)ができるとすれば,
が成り立ちますが,これは(高校で習う)p,qをy:xに内分する点です.式は,むずかしいのですが,図は小学生でも描けて,答も簡単に求まります
上の問題1 (1)〜(5)の問題と答えを図示すると次のようになります.

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