== 2次不等式 == (絶対値付き)

〇絶対値付きの2次不等式を解くには,場合分けによって絶対値記号を外してから解くのが確実です.
【例1】
2次不等式x2−2|x|−3≦0を解いてください.
(解答)
絶対値記号は,絶対値の中に収められている文字式の符号に応じて外すことができます.
|x|=x (x≧0のとき)
−x (x<0のとき)

分かれば簡単なことのようですが,次のような間違い答案が結構多い.こんな答案を書かれたら,採点官の「はらわたが煮えくり返って」完全な0点にしたくなる.
|x|=x (|x|≧0のとき)
−x (|x|<0のとき)

|x|はつねに正または0だから,こんな場合分けはありえない.何も分かっていない生徒の答案に見える##
ア) x≧0のとき
x2−2x−3≦0を解く
2次方程式
x2−2x−3=0
(x+1)(x−3)=0
の解は
x=−1 , 3
だから
2次不等式の解は
−1≦x≦3…(*)
ア)と(*)の共通部分から,
0≦x≦3
イ) x<0のとき
x2+2x−3≦0を解く
2次方程式
x2+2x−3=0
(x−1)(x+3)=0
の解は
x=1 , −3
だから
2次不等式の解は
−3≦x≦1…(**)
イ)と(**)の共通部分から,
−3≦x≦0
ア)イ)より
−3≦x≦3…(答)
【例2】
2次不等式x2−3|x−1|−1>0を解いてください.
(解答)
絶対値記号は,絶対値の中身全体の符号に応じて外します.
次の式で,中身全体とはx−1のことです.
|x−1|=x−1  (x−1≧0のとき)
−(x−1)  (x−1<0のとき)

ただし,紺色で書いた場合分けは,xの値としては間接的過ぎますので,もっと直接的に次のように書きます.
|x−1|=x−1  (x≧1のとき)
−(x−1)  (x<1のとき)

次のような間違い答案も結構多い.こんな答案を書かれたら,採点官の「はらわたが煮えくり返って」完全な0点にしたくなる.
|x−1|=x−1  (x≧0のとき)
−(x−1)  (x<0のとき)

|x|のはずし方の公式を丸暗記して書いただけで,何も分かっていない生徒の答案に見える##
ア) x≧1のとき
x2−3(x−1)−1>0
x2−3x+2>0
2次方程式
x2−3x+2=0
(x−1)(x−2)=0
の解は
x=1 , 2
だから
2次不等式の解は
x<1 , 2<x…(*)
ア)と(*)の共通部分から,
2<x
イ) x<1のとき
x2+3(x−1)−1>0
x2+3x−4>0
2次方程式
x2+3x−4=0
(x−1)(x+4)=0
の解は
x=1 , −4
だから
2次不等式の解は
x<−4 , 1<x…(**)
イ)と(**)の共通部分から,
x<−4
ア)イ)より
x<−4 , 2<x…(答)

【例3】
2次不等式|x2−1|<2を解いてください.
(解答)
絶対値記号は,絶対値の中身全体の符号に応じて外します.
この問題で,中身全体とはx2−1のことです.
だから,この問題で絶対値記号を外すには,前もって
ア) x2−1≧0という2次不等式と
イ) x2−1<0という2次不等式を
解いておく必要があります.
やって見れば分かるように,
ア)の値の範囲はx≦−1, 1≦x
イ)の値の範囲は−1<x<1
になります.
これは,実質上
ア1)x≦−1のとき
イ)−1<x<1のとき
ア2)1≦xのとき
数1では「もれなく」「重複なく」書いてあればOK
両方につく(重複)のはダメ
という3つの区間に分類して解くということですが,単純素朴にアイ)のまま解いてもよく,
区間の分類は「美的に,以上未満形にそろえたい」と考える場合は
ア)x<−1のとき
イ)−1≦x<1のとき
ウ)1≦xのとき
としてもよい.
ア) x≦−1, 1≦xのとき
x2−1<2
x2−3<0
2次方程式
x2−3=0
の解は

だから
2次不等式の解は
…(*)
ア)と(*)の共通部分から,

イ) −1<x<1のとき
−(x2−1)<2
x2+1>0
この2次不等式は
(スナップボタン)
x=±1の継ぎ目
つねに成り立つ…(**)
イ)と(**)の共通部分から,
−1<x<1
ア)イ)より
…(答)

【問題1】 次の2次不等式を解いてください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
※暗算では無理です.別途計算用紙などで求めてから答えてください.
(1)
x2−4x−2<|x−2|
(2)
x2+2x+|2x+1|≦6

(3)
|x2−5|<4
(4)
|x2−4x+3|≦x−1

【問題2】 
(1)
|x2−x−6|<2x+4
(2)
|x2−4x−12|≧x+2

(3)
|x2−1|≦|x−1|
(4)
|(x−1)(x−2)|<|x−3|
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