PC用は別頁
※高校数学Ⅲの「複素数平面」について,このサイトには次の教材があります.
この頁へGoogleやYAHOO ! などの検索から直接来てしまったので「前提となっている内容が分からない」という場合や「この頁は分かったがもっと応用問題を見たい」という場合は,他の頁を見てください.  が現在地です.
複素数平面
回転と拡大
点Aの周りの回転
三角形の形状問題-現在地
ド・モアブルの定理
ド・モアブルの定理(入試問題)
複素数で表される軌跡の方程式
同(2)
複素数の1次結合が表す図形
内分点・外分点
2直線の交点
内分点の内分点
2直線の平行条件・垂直条件
複素数平面の入試問題1
複素数平面の入試問題2
複素数平面の入試問題3
複素数平面の入試問題4

=== 複素数平面の図形問題(三角形の形状問題)===
○この頁では,それぞれの問題の結果を暗記することはお勧めしない.
○いろいろな問題を処理する中で「考え方や変形の仕方を身に付ける」ことが目標です.
【要点】
2つの複素数の商(割り算)を極形式で書くと
βα=r2(cosθ2+isinθ2)r1(cosθ1+isinθ1)
=r2r1{cos(θ2θ1)+isin(θ2θ1)}
A(α)からB(β)へ移るときの「辺の長さの比」と「回転角」が分かる.
【例題1.1】
 3点O, A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
βα=1+i
が成り立つとき△OABはどのような形の三角形か述べよ.
(解答)
βα=2(cos45+isin45)だから
A(α)を原点の周りに左回りに45°だけ回転して,さらに2倍するとB(β)に重なる.
 したがって,∠OABが直角となる直角二等辺三角形
この問題に答えるためには,辺の比が1:2で,その間の角度が45°のときは,「1:1:2の直角二等辺三角形になる」という中学校数学の基本が前もって分かっていなければなりません.
このことに気づかない場合は,
β=(1+i)α
βα=iα
|βα|=|iα|=|α|
などと,AB間の距離も求める必要があります.

≪参考≫
そもそも,複素数で書かれた1つの等式は,実数で書かれた2つの等式と同値になります.

○1 実部,虚部で書けば
a+bi=c+di ←→
a=c
b=d


○2 極形式で書けば
r1(cosα+isinα)=r2(cosβ+isinβ)
(r1, r2>0, 0≦α, β<2π)

↓↑
r1=r2
α=β


 直角二等辺三角形となるための条件は,実数(大きさ)を用いて
|α|=|β|…(*1)
|α|2+|β|2=|β−α|2…(*2)
のように連立方程式で書いてもよいはずです.(問題の形によってはこの形の方が使いやすい場合もある)

(*1)(*2)と(2)とは次のようにつながる.
(*1)を(*2)に代入すると
2|α|2=|β−α|2
|βα|=2|α|
|βα1|=2…(*3)
(*1)(*2)←→(*1)(*3)であるが,(*1)(*3)はz=βαが原点を中心とする半径1の円周上にあり,かつ,点1を中心とする半径2の円周上にあるという2つの条件で表されることを示している.
 これは,上記(i)で述べた
βα=±i
を2つに分けて述べていることになる.
※以下の問題では,画面上で答えやすいように選択問題にしていますが,計算用紙を使ってよく考えてから正しい選択肢をクリックしてください.
 なお,試験問題では単に「二等辺三角形」と答えるだけでは不十分で「AB=BCの二等辺三角形」などと答えなければなりませんが,選択肢は省略形になっています.詳しくは解説に書いたように答えるのが普通です.
【問題1】
 3点O, A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
βα=1±3i
が成り立つとき△OABはどのような形の三角形か述べよ.
(2)
 3点O, A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
βα=1±3i2
が成り立つとき△OABはどのような形の三角形か述べよ.

≪参考≫
そもそも,複素数で書かれた1つの等式は,実数で書かれた2つの等式と同値になります.

 正三角形となるための条件は,実数(大きさ)を用いて
|α|=|β|…(*1)
|α|=|β−α|…(*2)
のように連立方程式で書いてもよいはずです.(問題の形によってはこの形の方が使いやすい場合もある)
(*1)の両辺を|α|で割ると
|βα|=1…(*3)
(*2)の両辺を|α|で割ると
|βα1|=1…(*4)
(*1)(*2)←→(*3)(*4)であるが,(*3)(*4)はz=βαが原点を中心とする半径1の円周上にあり,かつ,点1を中心とする半径1の円周上にあるという2つの条件で表されることを示している.
 したがって,(*1)(*2)の2つに分けて述べている事柄は
βα=1±3i2
の1つで述べられる事柄と同じになる.(いずれも三角形ができるためには,α,β≠0が前提となっている)

【例題1.2】
 3点A(α), B(β), C(γ)を頂点とする△ABCについて
αβγβ=±i
が成り立つとき△ABCはどのような形の三角形か述べよ.
(解答)
αβγβ=±i=cos90±isin90
と変形すると,BCを点Bの周りに(時計回り,または反時計回りに)90°だけ回転する(長さは変えない)とBAに重なることが分かる.
 したがって,∠ABCが直角となる直角二等辺三角形

【問題2】
(1)
 3点A(z1), B(z2), C(z3)を頂点とする△ABCについて
z3z1z2z1=1±3i4
が成り立つとき△ABCはどのような形の三角形か述べよ.
(2)
 3点A(z1), B(z2), C(z3)を頂点とする△ABCについて
z3z1z2z3=1±3i2
が成り立つとき△ABCはどのような形の三角形か述べよ.
(3)
 3点A(α), B(β), C(γ)を頂点とする△ABCについて
αββγ=1±i
が成り立つとき△ABCはどのような形の三角形か述べよ.

【要点】
zに関する2次方程式を解の公式を使って解くと
az2+bz+c=0
z=b±b24ac2a

同様にして,βαに関する2次方程式を解の公式を使って解くと
a(βα)2+b(βα)+c=0
βα=b±b24ac2a
のように表せるから,β,αの「拡大比と回転角」が分かり,三角形の形状について手がかりがつかめる.
【例題2.1】
 3点O, A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
α2+β2=0
が成り立つとき△OABはどのような形の三角形か述べよ.
(解答)
三角形だからα, β≠0, α≠β.両辺をα2で割ると
1+(βα)2=0
(βα)2=1
βα=±i
OA=OB, ∠AOB=90°になるから
∠AOB=90°の直角二等辺三角形…(答)
(A,O,Bの向きは時計回りの場合と反時計回りの場合がある)

【問題3】
(1)
 3点O(0), A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
α2αβ+β2=0
が成り立つとき△OABはどのような形の三角形か述べよ.
(2)
 3点O(0), A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
α22αβ+4β2=0
が成り立つとき△OABはどのような形の三角形か述べよ.
(3)
 3点O(0), A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
α2+2αβ+β2=0
が成り立つとき△OABはどのような形の三角形か述べよ.

【例題2.2】
 3点A(α), B(β), C(γ)を頂点とする△ABCについて
α2+β2+γ2αββγγα=0
が成り立つとき△ABCはどのような形の三角形か述べよ.
上記の例題2.1では原点Oを中心とする回転・拡大を考えたが,この問題のように3点が与えられたときは,いずれか1つの頂点,例えばA(α)を中心とする回転・拡大を考えるとよい.そのためには,β, γの代わりにβ−α, γ−αを使って表せばよい.
β2=(β−α)2+2βα−α2
γ2=(γ−α)2+2γα−α2
などを試してみるのも一つの手です.
(解答)
β2=(β−α)2+2βα−α2
γ2=(γ−α)2+2γα−α2
を代入すると
α2+(β−α)2+2βα−α2+(γ−α)2+2γα−α2−αβ−βγ−γα=0
(β−α)2+(γ−α)2−(β−α)(γ−α)=0
三角形だからβ−α≠0.両辺を(β−α)2で割ると
(γαβα)2(γαβα)+1=0
解の公式を使って解くと
γαβα=1±3i2=cos60±isin60
AB=AC, ∠CAB=60°になるから正三角形…(答)
(A,B,Cの向きは時計回りの場合と反時計回りの場合がある)
【問題4】
(1)
 3点A(α), B(β), C(γ)を頂点とする△ABCについて
α2+2β2+γ22αβ2βγ=0
が成り立つとき△ABCはどのような形の三角形か述べよ.
(2)
 3点A(α), B(β), C(γ)を頂点とする△ABCについて
3α2+β2+γ23αβ+βγ3γα=0
が成り立つとき△ABCはどのような形の三角形か述べよ.

【要点】
z=a+bi,z¯=abi(ただしz≠0a, bは実数)とすると
(1) z=z¯ならばzは純虚数
a+bi=−(a−bi)ならば2a=0
a=0
となって,z=biとなるからである.
(純虚数という場合,z=0は除外する)
(2) z=z¯ならばzは実数
a+bi=a−biならば2b=0
b=0
となって,z=aとなるからである.
【例題3.1】
 3点O(0), A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
βα+β¯α¯=0
が成り立つとき△OABはどのような形の三角形か述べよ.
(解答)
上記の【要点】(1)により
βα+β¯α¯=0
ならば
βα=bibは0以外の任意の実数)
とおけるから∠BOA=90°の直角三角形になる.
この問題は,この頁でここまで扱ってきた問題と少し違う点があることに注意.すなわち,ここまでの問題は「三角形の形が決まる」(大きさまでは決まらない)のに対して,この問題は三角形の形が完全には決まらない(不定の要素があります).

詳しくは次の備考で示すこととして,
βα+β¯α¯=0
の関係が成り立つとき,△OABが直角三角形になることを「長さを使って==三平方の定理で」証明してみると次のようになります.
α0のとき)
βα+β¯α¯=0←→αβ¯+α¯β=0…(*1)
OB2+OA2AB2=|α|2+|β|2|βα|2
=αα¯+ββ¯(βα)(β¯α¯)
=αα¯+ββ¯ββ¯+αβ¯+α¯βαα¯
=αβ¯+α¯β…(*2)
(*1)(*2)を比較すると,
αβ¯+α¯β=0←→OB2+OA2=AB2
≪参考≫
そもそも,複素数で書かれた1つの等式は,実数で書かれた2つの等式と同値になります.

中学校で習ったように三角形の決定条件は「3辺の長さが与えられること」「2辺とその間の角が与えられること」「1辺とその両端の角が与えられること」ですが,これらを表すためには,いずれも3つの等式が必要になります.

このうち2つだけが決まる場合には「2辺の比とその間の角は分かるが,辺の長さまでは決まらない」のように形は決まるが大きさまでは決まらない,たとえば相似図形であるための条件が指定されていることになります.

これに対して,(実数の内容として)1つだけ等式が与えられた場合には,さらに形も定まらないことがあります.
○例えば,3点O(0), A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
|α|=|β|
のように指定された場合,実数で1つの条件が与えられただけなので,二等辺三角形ではあるが細かな形は決まらず,大きさも全然決まらないことになります.
○例えば,3点O(0), A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
|α|2+|β|2=|α−β|2
のように指定された場合,実数で1つの条件が与えられただけなので,直角三角形ではあるが細かな形は決まらず,大きさも全然決まらないことになります.
【問題5】
(1)
 3点O(0), A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
βα+β¯α¯=2
が成り立つとき△OABはどのような形の三角形か述べよ.
(2)
 3点O(0), A(α), B(β)を頂点とする△OABについて
βα+β¯α¯=1
が成り立つとき△OABはどのような形の三角形か述べよ.

■[個別の頁からの質問に対する回答][複素数平面の図形問題(三角形の形状問題)について/17.3.16]
問題5(2)の答えの選択肢が解説と相違しています。解説のOB=ABではなくOA=ABを選択しないと丸がつきません(T-T)
=>[作者]:連絡ありがとう.選択肢の番号を訂正しました.

...(携帯版)メニューに戻る

...(PC版)メニューに戻る

■このサイト内のGoogle検索■

△このページの先頭に戻る△
【 アンケート送信 】
… このアンケートは教材改善の参考にさせていただきます

この頁について,良い所,悪い所,間違いの指摘,その他の感想があれば送信してください.
○文章の形をしている感想は全部読ませてもらっています.
○感想の内で,どの問題がどうであったかを正確な文章で伝えていただいた改善要望に対しては,可能な限り対応するようにしています.(※なお,攻撃的な文章になっている場合は,それを公開すると筆者だけでなく読者も読むことになりますので,採用しません.)


質問に対する回答の中学版はこの頁,高校版はこの頁にあります