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== 三角形の重心,内心,外心,垂心(ベクトル,三角関数) ==
【このページで解説する内容】
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 原点をOとし,△ABCの頂点の位置ベクトルを各々, , とし,辺BC, CA, ABの長さを各々a, b, cで表す.
 この△ABCの重心をG,垂心をH, 内心をI,外心をJとするとき,次の関係式が成り立つ.
外心はOで表されることが多いが,ここでは原点のOと区別するため,別の記号を用いた
…(1)
…(2.1)
辺の長さも使って表せば
…(2.2)
…(3.1)
辺の長さも使って表せば
…(3.2)
※ただし,直角三角形のときは,直角となる頂点自身
…(4.1)
辺の長さで表せば
…(4.2)
J,G,Hは1直線上にある[オイラー線と呼ばれる]
…(5)
二等辺三角形の場合,内心も1直線上に並ぶ

【予備知識1】
 線分ABm:nに内分する点Pの位置ベクトル

に掛ける数は,図での見かけ上遠い方の長さnに掛ける数は,図での見かけ上遠い方の長さmとなっていることに注意(「いじ悪な」公式になっていると覚えるとよい)
【例】
線分AB2:3に内分する点Pの位置ベクトル

このようにPA寄りの点にするには(Aに「ひいき」するには)Aに掛ける数字を大きくすることになる

【予備知識2】
 原点をOとし,△ABCの頂点の位置ベクトルを各々, , とするとき

によって定まる点X
(1)
と変形すると,ABq:pに内分する点

Rとおくと,RCr:(p+q)に内分する点となっている.
同様にして
(2)
のようにも変形できるから,BCr:qに内分する点

を,Pとおくと,XAPp:(q+r)に内分する点となっている.
(3) 内分点Qと線分BQについても同様のことがいえる
逆に,上の図のようにABq:pに内分する点をRとし,ACr:pに内分する点をQとするとき,
このとき平面幾何のチェバの定理により
BP:PC=r:qになる
BQ, CRの交点X

を満たすこともいえる.
(参考)
 内分点を組み立てていく操作は,何回でも行うことができ,例えば右図のような四角形ABCDについて


によって定まる点X
(1)

と変形すれば,右図のEG(r+s):(p+q)に内分する点となる.
(2)

と変形すれば,右図のHF(q+r):(p+s)に内分する点となる.
(3)

と変形すれば,右図のECr:(p+q)に内分する点をJとするとき,JDs:(p+q+r)に内分する点となる.
※(1)(2)(3)は同じ位置ベクトルであるから,同一の点を表す.(上記のように作った線分は1点で交わるともいえる)

【予備知識3】
 原点をOとし,△ABCの頂点の位置ベクトルを各々, , とする.
 △ABCの内部に1点Xをとり,AXの延長が線分BCと交わる点をPBXの延長が線分CAと交わる点をQCXの延長が線分ABと交わる点をRとするとき
 △XBC:△XCA:△XABの面積比をp:q:rとすると,Xの位置ベクトルは

で表される.
(1) △XBC△XCAは底辺が共通のXCで,高さの比はその底辺に引いた垂線の長さの比になるが,垂線の長さ自体は図に直接書かれていなくても,XCに交わる線分BR:RAに等しいと言える.
 底辺が共通で高さの比が,BR:RAだから,面積の比はBR:RAに等しい.
したがって,BR:RA=p:q
同様にして
(2) △XBC△XABは底辺が共通のXBで,高さの比はその底辺に引いた垂線の長さの比になるが,垂線の長さ自体は図に直接書かれていなくても,XBに交わる線分CQ:QAに等しいと言える.
 底辺が共通で高さの比が,CQ:QAだから,面積の比はCQ:QAに等しい.
したがって,CQ:QA=p:r
同様にして(3)BP:PC=r:qも言える.
(1)(2)(3)から定まる点Xは【予備知識2】の図と同じであるから,Xの位置ベクトルは

になる.

重心

(解説)
 高校の授業や教科書では通常,右図の茶色で示したように,「重心とは」線分ABの中点Rと頂点Cを結ぶ線分CR2:1に内分する点として導入するので

が得られる.
 これに対して,右図で緑色で示したように,「重心とは」ABの中点Rと頂点Cを結ぶ線分CRと,CAの中点Qと頂点Bを結ぶ線分BQの交点として導入すると(3本目も1点で交わることは知られているから2本の交点を求めればよい),
 右図においてp:q:r=1:1:1とすると

で定まる点Gは,

となって,CRの内分点でもあり,BQの内分点にもなっているから,これらの交点,すなわち重心を表す.
直線のベクトル方程式の交点を求めてもよいが,次のような形で求めると,「一般に2次元ベクトルでは3つのベクトルが1次独立とは言えない」から,係数比較をする根拠が崩れる.(からをいうには無理がある.)
…(*1)
…(*2)
これを避けるため,Aを原点として,平行でなくかつ零ベクトルでもない2つのベクトルを用いて求めると
…(1)
…(2)
から,として

が得られる.

外心
…(2.1)
(解説)
△ABCの外接円の中心(外心)をJとおくと,中学校で習う円周角の定理により,中心角は円周角の2倍になるから,∠BJC=2A, ∠CJA=2B, ∠AJB=2Cとなる.



したがって,これらの面積比は

【予備知識3】の結果から

辺の長さも使って表せば
…(2.2)
(解説)
2倍角公式によりsin2A=2sinAcosA
正弦定理により

B, Cについても同様であるから



垂心
…(3.1)
(解説)
△ARC, △BRCは直角三角形だから
CR=BRtanB=ARtanA
だから
AR:RB=tanB:tanA
同様にして
AQ:QC=tanC:tanA
BP:PC=tanC:tanB
【予備知識2】の内容と照らし合わせると,

辺の長さも使って表せば
…(3.2)
(解説)
(3.1)を

を使って変形すると(B, Cも同様)

※(3.1)(3.2)いずれも1つの角が90°のときは式が定義されないが,例えばAが直角のときは,右図のようにその頂点Aが垂心になる.B, Cが直角の場合も同様.
Aが直角 ⇒
Bが直角 ⇒
Cが直角 ⇒


内心
辺の長さで表せば
…(4.2)
(解説)
 三角形の各頂点から内心に引いた直線は,頂点の角の二等分線になる.
(これは,右図においてAP∠Aの二等分線になるということで,一般には×印で示した内接円と辺BCの接点を通るとは限らない.)
 平面幾何の角の二等分線に関する定理によれば,このような場合,BP:PC=AB:AC=b:cが成り立つ.(ただし,緑色の数値は比率)
同様にして,AR:RB=b:a, CQ:QA=a:cも言えるから,【予備知識2】の結果を使うと

…(4.1)
(解説)
(4.1)の結果に,正弦定理を用いてa=2RsinAb,cも同様)を代入すると

この定理は,中学校で習わない場合もあり,高校では数学Aで平面幾何を選択することが少ないので,いずれにせよ習っていない場合があるが,ベクトルを使って次のように簡単に証明することができる.
とおくとき,これらを単純に足して2で割ると,長さの長い方に引きずられて,角の二等分線にならないので,その大きさで割って,各々を単位ベクトルにしておくと,角の二等分線方向を向く.

の2つのベクトルを使って考える.


この方程式から


が求まる.すなわち,PBCに内分することが言える.
※このページの先頭で述べた,△ABCの辺や角に対する通常の命名法との対応は,
になります.

相互関係
J,G,Hは1直線上にある[オイラー線と呼ばれる]
…(5)
(解説)
外心,重心,垂心は1直線上にあることを示すことができる.(内心は,これら3点と同一直線上にあるとは限らない)
 (5.1)を直接示そうとすると,を比較することになるが,これらはすでに複雑な三角関数の分数式になっているので,通分などが容易ではない.
 そこで,それ自体を使って,右図のようにGJHを1:2に内分する点となっていることを示してみる.



より

を示せばよい.すなわち
…(*)
を示せばよい.
一般に,(2次元の)3個のベクトルについては



の関係に気を付けなければならないが,の係数が各々等しければ,和も等しい(←方向)ことは言える.
(*)において,左辺のの係数は
…(**)
 (**)の第1項の分母は,和積の公式と2倍角公式を使って次のように変形できる.

(途中経過)









 (**)の第2項の分母は,加法定理を使って次のように変形できる.

(途中経過)


分母を払うと



以上のように分母を変形すると(**)は,次の形になる







これにより,(*)左辺のの係数が1になることが示された.
同様にして,(*)左辺のの係数も1になるから,結局(*)が成立することが示される.
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