三角関数の加法定理,2倍角公式,半角公式,積和の公式,和積の公式などの教科書レベルの基本公式は,前のページにあります.
このページでは,その基本公式を使って,あと一歩応用的な式を作る練習をします. このページの内容を覚える必要はありませんが,「そういう式もありだな」という事実を押さえておくことと,「必要になったらいつでも作れる」という能力を身に着けてもらうことがこのページの目標です.
※以下,一般の角度について成り立つ関係式はで表し,特に△ABCの内角の場合,すなわちの場合に成り立つ関係式はで表すことにします.
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加法定理
…(基本)
(解説)…(1.1) …(基本) …(1.2) …(基本) …(1.3) (1.1)← (終) |
(1.2)← (終) (1.3)← (終) |
倍角公式
※sin2α, sin4α, sin6α, ..はsinαだけでは表せない(cosαと混ざる)
それ以外は同じ種類のsinα, cosα, tanαのn次式で表せる.(ただし,tannαはtanαの分数式)
…(基本)
※sinnαは,…(基本) …(2.1) …(2.2) …(2.3) nが偶数の場合は,sinαとcosαを使って表せる.←(例外) nが奇数の場合は,sinαのn次式で表せる.
sin(n+1)α=2sinnαcosα−sin(n−1)α…(*)
(n≧1)と書ける. (右辺を積和の公式で変形すると左辺に等しいことが分かる) |
(解説)
(2.1)←(*) (終) 最終形としては,見かけの異なる様々な形があり得る. …(2.1’) (2.2)←(*) …(終) (2.3)←(*) 最終形としては,見かけの異なる様々な形があり得る. …(2.3) …(2.3’) …(2.3”) |
…(基本) …(基本) …(2.4) …(2.5) …(2.6)
α=0のとき,cosα=1, cos nα=1だから,係数の和は1になる
※cosnαはcosαのn次の多項式で表せる.
cos(n+1)α=2cosnαcosα−cos(n−1)α…(**)
(n≧1)と書ける. (右辺を積和の公式で変形すると左辺に等しいことが分かる) T cos2αはcosαの2次式 U coskαがcosαのk次式で,cos(k−1)αがcosαのk−1次式ならば,この式の右辺はcosαのk+1次式になる. 数学的帰納法により,すべての自然数nについて,cosnαがcosαのn次式であると言える. |
(解説)
(2.4)←(**) cos4α=2cos3αcosα−cos2α =2(4cos3α−3cosα)cosα−(2cos2α−1) =8cos4α−8cos2α+1…(終) (2.5)←(**) cos5α=2cos4αcosα−cos3α =2(8cos4α−8cos2α+1)cosα−(4cos3α−3cosα) =16cos5α−20cos3α+5cosα…(終) (2.6)←(**) cos6α=2cos5αcosα−cos4α =2(16cos5α−20cos3α+5cosα)cosα −(8cos4α−8cos2α+1) =32cos6α−48cos4α+18cos2α−1…(終) |
…(基本)
tannαはtanαのn次の分数式で表せる.…(2.7) …(2.8) (n≧1)と書ける.(加法定理) この式を使って,次々にtan(n+1)αを求めていくと ア) のように,tannαの分母がtanαのn次式になっている場合は,tan(n+1)αは分子がtanαのn+1次式になる.(やって見れば分かる) イ)tannαの分子がtanαのn次式になっている場合は,tan(n+1)αは分母がtanαのn+1次式になる.(やって見れば分かる) ア)イ)より,nが偶数のときは,分母がtanαのn次式になり,nが奇数のときは,分子がtanαのn次式になる. |
(解説)
(2.7)← …(終) (2.8)← …(終) |
三角関数の累乗→倍角
※累乗の形を避けたい積分計算などでは,次のように倍角を用いて,被積分関数を線形な関数に直す方法も利用できる
…(3.1)
(解説)…(3.2) …(3.3) …(3.4) …(3.5) …(3.6) …(3.7) …(3.8) …(3.9) …(3.10) …(3.11) …(3.12) (3.1)← を逆に解くと …(終) (3.2)← を逆に解くと …(終) (3.3)← …(終) |
(3.4)← …(終) (3.5)← を逆に解くと …(終) (3.6)← を逆に解くと …(終) (3.7)← をについて解くと …(終) (3.8)← をについて解くと …(終) (3.9)〜(3.12)← それぞれ正弦の式を余弦の式で割れば得られる |
積和の公式
…(基本)
…(基本) …(基本) …(基本) …(4.1) …(4.2) …(4.3) …(4.4) |
(解説) (4.1)← …(終) (4.2)以下も同様にして,積和の公式を繰り返し適用すれば得られる. 結果的には,sinが奇数個→sinの式,sinが偶数個→cosの式になる |
≪のとき≫
(解説)…(5.1) …(5.2)
この式は(5.1)のの代わりにを代入しても得られない.それは,のとき,とはならないからである.以下においても同様
…(5.3)…(5.4) …(5.5) …(5.6) …(5.7) …(5.8) …(5.9) …(5.10) …(5.11) …(5.12) (5.1)← …(終) (5.2)も同様にして示される |
(5.3)← …(終) (5.4)〜(5.8)も同様にして示される (5.9)← 分母を払うと …(終) (5.10)← 分母を払うと …(終) (5.11)← したがって 分母を払うと (5.12)← (5.11)の両辺をで割ると得られる |