== 連立不等式 ==

■解説
○ 連立不等式とは

 連立不等式とは2つ以上の不等式を組み合わせたものをいい,それらの不等式をすべて満たす値の範囲連立不等式の解という.

 連立方程式と名前は似ているが,解き方が全く異なる.

 すなわち,連立方程式では未知数が2つ以上あって,各式を足したり引いたりして未知数の個数を減らして解くことが多いが,以下の頁で扱う連立不等式は文字は1個で,各不等式を1つずつ解く.
連立方程式の例
2x+y=2
3x−y=8
連立不等式の例
2x+1>3 …(1)
3x−18 …(2)
○ 右の連立不等式 (1)(2)は次のように解く.
 (1)より x>1
 (2)より x≦3
これらを右図のように図示し,共通部分を考えて
1<x3…(答)
【 要約 】 連立不等式の解き方
  • 各不等式を1つずつ解く.
  • それらを数直線上に図示して共通部分を答にする.
参考
  • 1<x かつ x3 ようにサンドイッチ形になる範囲は,
    1<x3 とつなげて書く.
  • 1<x かつ 3x ように,大きい方と大きい方の組合わせでは,「共通部分」は狭い方になる.
参考
  • 等号なしの不等号は「白丸」「斜め線」で図示し,等号付不等号は「黒丸」「垂直線」で図示する.(図が複雑になると,この二重の安全装置のおかげで助かることが多い.)
  • 範囲を表わす「横線」は1つずつ高さを変えること.(下の「悪い書き方」では混乱してしまって分からなくなる.)

【例1】 次の連立不等式を解いてください.
1−3x<4…(1)
2x−1<3…(2)
(解説)**茶色で書いた部分は,答案に書かなくてよい**
(1)(2)を1つずつ解く
(1)より
−3x<4−1
−3x<3
x>−1
(2)より
2x<3+1
2x<4
x<2

x 2 −1
 二重の安全装置を付けて,右図のように値の範囲を図示する
 重なった部分を答えにする

−1<x<2…(答)
【例2】 次の連立不等式を解いてください.
2x−1>x−3…(1)
x+3≧3(x−1)…(2)
(解説)**茶色で書いた部分は,答案に書かなくてよい**
(1)(2)を1つずつ解く
(1)より
2x−x>−3+1
x>−2
(2)より
x+3≧3x−3
x−3x≧−3−3
−2x≧−6
x≦3

x 3 −2
 二重の安全装置を付けて,右図のように値の範囲を図示する(段差は,どちらを高く書いてもよい)
 重なった部分を答えにする

−2<x≦3…(答)

【例3】 次の連立不等式を解いてください.
3x+1>x−1…(1)
2−x≦x−2…(2)
(解説)**茶色で書いた部分は,答案に書かなくてよい**
(1)(2)を1つずつ解く
(1)より
3x−x>−1−1
2x>−2
x>−1
(2)より
−x−x≦−2−2
−2x≦−4
x≧2

x 2 −1
 二重の安全装置を付けて,右図のように値の範囲を図示する(段差は,どちらを高く書いてもよい)
 重なった部分を答えにする(大きい方と大きい方の共通部分は,一番大きい方)

x≧2…(答)
【例4】 次の連立不等式を解いてください.
3x+1<x+3…(1)
x−1≧2(x−2)…(2)
(解説)**茶色で書いた部分は,答案に書かなくてよい**
(1)(2)を1つずつ解く
(1)より
3x−x<3−1
2x<2
x<1
(2)より
x−1≧2x−4
x−2x≧−4+1
−x≧−3
x≦3

x 3 1
 二重の安全装置を付けて,右図のように値の範囲を図示する(段差は,どちらを高く書いてもよい)
 重なった部分を答えにする(小さい方と小さい方の共通部分は,一番小さい方)

x<1…(答)

【 要約 】 次のような形の不等式は連立不等式に直して解ける.
− 1<2x+1<x+4

− 1<2x+1 …(1)
2x+1<x+4 …(2)
(答案)
− 1<2x+1 …(1)
2x+1<x+4 …(2)
(1)より − 1<x
(2)より x<3
以上から − 1<x<3 …(答)
◎芋づる型
a<b<c
を連立不等式に直すには,必ず
a<b …(1)
b<c …(2)
でなければならない.

▼(危険な落とし穴)
a<b …(1)
a<c …(2)
などと切り出すと,b, cの大小が決まらず,b>cの場合も答えの中に紛れ込んでしまう.
▼(危険な落とし穴)
また,次の切り出し方もだめである.(a, bの大小が決まらない)
a<c …(1)
b<c …(2)
▼▼(ビックリ答案あるある)
芋づるは「2つずつにする」のであって「1つずつにしたら不等式がなくなる」
※まさか,こんな答案を書く生徒はいないでしょう?
a …(1)
b …(2)
c …(3)
【例5】 次の不等式を解いてください.
−1<2x+1≦5
(解説)**茶色で書いた部分は,答案に書かなくてよい**
連立不等式に直す
−1<2x+1…(1)
2x+1≦5…(2)
(1)(2)を1つずつ解く
(1)より
−2x<1+1
−2x<2
x>−1
(2)より
2x≦5−1
2x≦4
x≦2

x 2 −1
 二重の安全装置を付けて,右図のように値の範囲を図示する(段差は,どちらを高く書いてもよい)
 重なった部分を答えにする

−1<x≦2…(答)
【例6】 次の不等式を解いてください.
−x+1≦3x+4<x+7
(解説)**茶色で書いた部分は,答案に書かなくてよい**
連立不等式に直す
−x+1≦3x+4…(1)
3x+4<x+7…(2)
(1)(2)を1つずつ解く
(1)より
−x−3x≦4−1
−4x≦3

(2)より
3x−x<7−4
2x<3


x
 二重の安全装置を付けて,右図のように値の範囲を図示する(段差は,どちらを高く書いてもよい)
 重なった部分を答えにする

…(答)

半角数字(1バイト文字)で解答すること
問題1  次の連立不等式を解け.  [ 第1問 / 全8問中 ]
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■[個別の頁からの質問に対する回答][連立不等式について/17.7.16]
正解の数字を入力しても誤りの表示が出る
=>[作者]:連絡ありがとう.全角数字で入力していませんか?(Chromeで入力している場合,全角数字は自動的に半角数字には変換されません.入力する人自身が半角入力モードにしなければなりません.)
■[個別の頁からの質問に対する回答][連立不等式について/17.5.28]
とても理解しやすいです。ひとつだけもうすこし解説を加えていただけると助かります。上の例題の−1<2x+1<x+4ですが −1<x+4を連立不等式の片方にするのはなぜいけないのか、の解説を加えていただけないでしょうか。
=>[作者]:連絡ありがとう.いけない訳ではないが,無駄になるということですが,言い始めるとコテコテしそうな感じです.
A<B<C ←→
A<B…(1)
B<C…(2)
A<C…(3)

(3)は間違いではないので,書いてもかまわない.ただ(1)(2)から(3)が作れるから,無駄になっています.
そうではなくて,(1)(3)だけにするとB≧Cの場合も許すことになり,(2)(3)だけにするとA≧Bの場合も許すことになるので,元の問題と同じではない.
高校生でこのことが分からない人に,上記のように説明をしても,分かるようにはならないでしょう.
■[個別の頁からの質問に対する回答][連立不等式について/17.5.17]
貢の数が全然増えないのはなぜでしょうか?なので進み具合を報告できません
=>[作者]:連絡ありがとう.iPadでは(記録方式が違うためか)記録されないという報告が以前からあります.
■[個別の頁からの質問に対する回答][連立不等式について/17.5.7]
すごくわかりやすく、為になりました。       ありがとうございます!(v^-゜)
=>[作者]:連絡ありがとう.