■解説 ○ n 次の多項式 P(x) を用いて,P(x)=0 の形に書くことのできる方程式を n 次方程式という. ○ 3 次以上の方程式を高次方程式という. ○ このページでは,「因数定理を用いて因数分解で解ける3次方程式」を扱う.
【 因数定理 】
多項式 P(x) について P(a)=0 ならば, P(x) は x−a で割り切れる.( x−a を因数にもつ.) |
(参考)
一般に,係数が実数である 3 次方程式の解は,
(ア)実数,実数,実数 (イ)実数,虚数,虚数 のいずれかになる.(これ以外の組合わせ[実数,実数,虚数][虚数,虚数,虚数]はない. 重解をもつ場合は,アに含まれる. |
【 因数定理 II 】
(解説)多項式 P(x) について P( )=0 ならば, P(x) は ax−b で割り切れる.( ax−b を因数にもつ.) 上の「II」は高校生が使いやすいように,かみ砕いて述べたもので,理論的には「因数定理」だけでよい.(その訳は以下に述べる.) (因数定理←) 「剰余の定理:多項式 P(x) を x−a で割った余りは P(a) に等しい.」を用いると, (因数定理II←) 因数定理や剰余の定理において,定数 a の値は,整数に限られず,分数でも小数でも無理数でも(さらに広げて虚数でも)よい. となるから,P( )=0 ならば, P(x) は x− で割り切れ,その逆も言える. ところで,例えば のように,x− で割り切れことと,2x−1 で割り切れることは,同じことである.(どちらの式に2を振り分けるかの違いだけである.) そこで,x− で割り切れるということを整数係数で言えば,ax−b で割り切れることになるから, |
上の「因数定理II」の証明で納得できないときは,次の[別の証明]を見るとよい. まず,「剰余の定理」は次のように証明される: 「剰余の定理」の復習 多項式 P(x) を1次式で割ったときの余りを求めるとき,1次式で割るのだから余りは定数項になる.そこで商を Q(x),余りを R とおくと[ax−b で割ったときの剰余の定理II] 多項式 P(x) を1次式 ax−b で割ったときの余りを求めるとき,1次式で割るのだから余りは定数項になる.そこで商を Q(x),余りを R とおくと[ ax−b で割ったときの因数定理 II ]別の証明 上で述べた「剰余の定理II」により,P(x) を ax−b |
例題1
3次方程式 x3+x2+x−3=0 を解け. 答案 f(x)=x3+x2+x−3 とおくと f(1)=1+1+1−3=0 だから …(*1) f(x) は x−1 で割り切れる. 割り算を行うと f(x)=(x−1)(x2+2x+3) …(*2) (x−1)(x2+2x+3)=0 より x=1 ,−1±i …(*3) 【 この問題では 】
x3+x2+x−3=(x−a)(x2+bx+c) ならば a は 3 の約数(符号は正負あり:±1,±3) x3+・・・ + p=(x−a)(x2+・・・+c) ならば a は p の約数(符号は正負あり) 正負を考えて p の約数に順に当たっていけば「いずれ見つかる」 |
(舞台裏から) (*1) なぜ f(1) を思いつくのか? はっきり言って,「一発で当てる方法はない」.ある程度は「まぐれ当たり」 もし,x3+x2+x−3=(x−a)(x2+bx+c) の形に因数分解できる(係数は整数)とすれば,ac=3 になるはずなので,a は3の約数(正負の符号あり).(*2) この式はどうやって出てくるのか? 次のように割り算をして,(割り切れるのは分かっている)商を書く.(*3) 3次式から1次の因数を1つ見つけると残りは2次 残りは2次なので,2次方程式にすれば「解の公式」で直ちに解ける. |
※ 次の問題は,因数分解の結果が (2x−3)(x2+x+1) となる問題である.このような問題では,整数値 a をどんなに探しても,f(a)=0 にはならない.また,残り2つの解は虚数なのでこれも通常は思いつかない. したがって,f( )=0 を見つけない限り,この問題の糸口はつかめない. f( )=0 を見つける方法は?
例題2
3次方程式 2x3−x2−x−3=0 を解け. 答案 f(x)=2x3−x2−x−3 とおくと f( )=2( )3−( )2−( )−3==0 だから f(x) は 2x−3 で割り切れる. 割り算を行うと f(x)=(2x−3)(x2+x+1) (2x−3)(x2+x+1)=0 より x= , |
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(舞台裏から) f( )=0 を見つける方法は? もし, 2x3−x2−x −3=(ax −b)(cx2+dx+e) の形( a , b , c , d , e は整数 )に因数分解できるとすれば,
【 一般に 】
px3+・・・ +q=(ax−b)(mx2+・・・+n) ならば a は p の約数,b は q の約数として f(±)=0 となるものがある. |
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【 要約 】
f(x)=px3+・・・ +q の因数分解 ⇒ f(±) を調べる. ※ 整数や分数を用いて因数分解できる3次方程式はこの方法で対応できる. ※ 次のような3次方程式は,ここで紹介した方法では解けない.x3−2.32 x2+x−=0 |
※「やり直す」で,別の係数の問題に変ります. ■問題1 次の方程式を解け. |
■問題2 次の方程式を解け. |
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