■オームの法則,合成抵抗
【オームの法則】
 右図1のような回路を流れる電流の強さI[A]は電圧E[V]に比例し,抵抗R[Ω]に反比例します.
 これをオームの法則といいます.
I=…(1)
分母を払ってEを表す式としてもよく使います.
E=IR…(2)
また,電流と電圧から抵抗を求める式としても使います.
R=…(3)
※電池の中には内部抵抗があり,内部抵抗r[Ω]が無視できない大きさのときは,R+r[Ω]が全体の抵抗になります.
I=…(1’)
 実際の問題を解くときに,内部抵抗が無視できるかどうかは問題を見れば分かります.
図1

※通常,電圧がかかれば電流が流れるというように考えることが多いですが,必ずしもそのように考える必要はなく,次の図のような場合,抵抗にはIR=12[V]の電圧がかかっていると言えます.
[問題]
図のように,内部抵抗r[Ω],起電力E[V]の電池に抵抗R[Ω]の可変抵抗器を接続した回路がある。R=2.25[Ω]にしたとき,回路を流れる電流はI=3[A]であった。次に,R=3.45[Ω]にしたとき,回路を流れる電流はI=2[A]となった。この電池の起電力E[V]の値として,正しいのは次のうちどれか。

(1) 6.75 (2) 6.90 (3) 7.05 (4) 7.20 (5) 9.30


引用元:電験三種 平成18年度「理論」問5

【抵抗の直列接続・並列接続と合成抵抗】
 下図2のように抵抗が各々R1[Ω],R2[Ω]の2つの抵抗を直列につないだとき,合成抵抗(点線の部分を1つの抵抗に置き換えた場合の値)は
R=R1+R2…(1)
 右図3のように抵抗が各々R1[Ω],R2[Ω]の2つの抵抗を並列につないだとき,合成抵抗(点線の部分を1つの抵抗に置き換えた場合の値)は
R=…(2)… [和]分の[積]
【解説】
キルヒホフの法則を使いますが,これについては後で詳しく述べます.
図2
(1)←
 図2においてa,c間とc,b間を流れる電流は共通で,これをIとおくと,
 a,c間の電圧,c,b間の電圧は各々
IR1IR2
 a,b間の電圧Vはそれらの和に等しいから
V=IR1+IR2=I(R1+R2)
になります.
 したがって,抵抗は
R==R1+R2
になります.
 一般に,いくつかの抵抗R1R2R3,···を直列接続したときの合成抵抗は
R1+R2+R3+···
になります.


【例】
 右図4のように直列接続と並列接続が組み合わされているとき  R2R3の並列接続による合成抵抗は

 この結果とR1との直列接続により,全体の合成抵抗は
R1+
図3
(2)←
 図3においてa,b間の電圧をVとおくと,抵抗R1R2に流れる電流は各々

 a,b間の電流Iはそれらの和に等しいから
I=+=V(+)
になります.
 したがって,抵抗は
=+
を満たします.
 これを変形すると,
R=… [和]分の[積]
 一般に,いくつかの抵抗R1R2R3,···を並列接続したときの合成抵抗は
=+++···
を満たします.
 これを変形すると,
R=
※3個以上の場合は,[和]分の[積]のような簡単な直し方はありません.


図4
[問題1]
抵抗値が異なる抵抗R1[Ω]とR2[Ω]を図1のように直列に接続し,30[V]の直流電圧を加えたところ,回路に流れる電流は6[A]であった。
次に,この抵抗R1[Ω]とR2[Ω]を図2のように並列に接続し,30[V]の直流電圧を加えたところ,回路に流れる電流は25[A]であった。このとき,抵抗R1[Ω],R2[Ω]のうち小さい方の抵抗[Ω]の値として,正しのは次のうちどれか。

図1
図2

(1) 1 (2) 1.2 (3) 1.5 (4) 2 (5) 3


 一般財団法人電気技術者試験センターが作成した問題
 第三種電気主任技術者試験(電験三種)平成21年度「理論」問6
 なお,問題及び解説に対する質問等は,電気技術者試験センターに対してでなく,引用しているこのホームページの作者に対して行うものとする.
[問題2]
図の抵抗回路において,端子a, b間の合成抵抗Rab[Ω]の値は1.8R[Ω]であった。このとき,抵抗のうち小さい方の抵抗Rx[Ω]の値として,正しのは次のうちどれか。


(1) R (2) 2R (3) 3R (4) 4R (5) 5R


 一般財団法人電気技術者試験センターが作成した問題
 第三種電気主任技術者試験(電験三種)平成16年度「理論」問4
 なお,問題及び解説に対する質問等は,電気技術者試験センターに対してでなく,引用しているこのホームページの作者に対して行うものとする.
[問題3]
図のように,抵抗,切換スイッチS及び電流計を接続した回路がある。
この回路に直流電圧100[V]を加えた状態で,図のようにスイッチSを開いたとき電流計の指示値は2.0[A]であった。また,スイッチSを@側に閉じたとき電流計の指示値はスイッチ2.5[A],スイッチSをA側に閉じたとき電流計の指示値は5.0[A]であった。このとき,抵抗r[Ω]の値として,正しいのは次のうちどれか。
ただし,電流計の内部抵抗は無視できるものとし,測定誤差はないものとする。


(1) 20 (2) 30 (3) 40 (4) 50 (5) 60


 一般財団法人電気技術者試験センターが作成した問題
 第三種電気主任技術者試験(電験三種)平成20年度「理論」問6
 なお,問題及び解説に対する質問等は,電気技術者試験センターに対してでなく,引用しているこのホームページの作者に対して行うものとする.
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