【オームの法則】
※電池の中には内部抵抗があり,内部抵抗r[Ω]が無視できない大きさのときは,R+r[Ω]が全体の抵抗になります.右図1のような回路を流れる電流の強さI[A]は電圧E[V]に比例し,抵抗R[Ω]に反比例します. これをオームの法則といいます. I=…(1) 分母を払ってEを表す式としてもよく使います. E=IR…(2) また,電流と電圧から抵抗を求める式としても使います. R=…(3) I=…(1’) 実際の問題を解くときに,内部抵抗が無視できるかどうかは問題を見れば分かります. |
図1
※通常,電圧がかかれば電流が流れるというように考えることが多いですが,必ずしもそのように考える必要はなく,次の図のような場合,抵抗にはIR=12[V]の電圧がかかっていると言えます. |
r, Eを未知数とする連立方程式を立てる.
R=2.25のとき,I=3だから E=3(2.25+r)…(1)
R=3.45のとき,I=2だからE=2(3.45+r)…(2)
(1)−(2)によりEを消去すると6.75+3r=6.9+2r
r=0.15
r=0.15を(1)に代入E=3(2.25+0.15)=7.2→【答】(4)
【ここがポイント】
抵抗がR,電池の内部抵抗がrのとき,回路にはこれらの直列接続としてR+rの抵抗があることになる。 |
【抵抗の直列接続・並列接続と合成抵抗】
【解説】下図2のように抵抗が各々R1[Ω],R2[Ω]の2つの抵抗を直列につないだとき,合成抵抗(点線の部分を1つの抵抗に置き換えた場合の値)は R=R1+R2…(1) 右図3のように抵抗が各々R1[Ω],R2[Ω]の2つの抵抗を並列につないだとき,合成抵抗(点線の部分を1つの抵抗に置き換えた場合の値)は R=…(2)… [和]分の[積]
キルヒホフの法則を使いますが,これについては後で詳しく述べます.
図2
図2においてa,c間とc,b間を流れる電流は共通で,これをIとおくと,
a,c間の電圧,c,b間の電圧は各々 IR1,IR2 a,b間の電圧Vはそれらの和に等しいから V=IR1+IR2=I(R1+R2) になります. したがって,抵抗は R==R1+R2 になります.
一般に,いくつかの抵抗R1,R2,R3,···を直列接続したときの合成抵抗は
R1+R2+R3+··· になります. 【例】 右図4のように直列接続と並列接続が組み合わされているとき R2,R3の並列接続による合成抵抗は この結果とR1との直列接続により,全体の合成抵抗は R1+ |
図3
図3においてa,b間の電圧をVとおくと,抵抗R1,R2に流れる電流は各々
, a,b間の電流Iはそれらの和に等しいから I=+=V(+) になります. したがって,抵抗は =+ を満たします. これを変形すると, R=… [和]分の[積]
一般に,いくつかの抵抗R1,R2,R3,···を並列接続したときの合成抵抗は
=+++··· を満たします. これを変形すると, R= ※3個以上の場合は,[和]分の[積]のような簡単な直し方はありません. 図4 |
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[問題1]
抵抗値が異なる抵抗R1[Ω]とR2[Ω]を図1のように直列に接続し,30[V]の直流電圧を加えたところ,回路に流れる電流は6[A]であった。 次に,この抵抗R1[Ω]とR2[Ω]を図2のように並列に接続し,30[V]の直流電圧を加えたところ,回路に流れる電流は25[A]であった。このとき,抵抗R1[Ω],R2[Ω]のうち小さい方の抵抗[Ω]の値として,正しのは次のうちどれか。
一般財団法人電気技術者試験センターが作成した問題
第三種電気主任技術者試験(電験三種)平成21年度「理論」問6 なお,問題及び解説に対する質問等は,電気技術者試験センターに対してでなく,引用しているこのホームページの作者に対して行うものとする. |
R1, R2を未知数とする連立方程式を立てる.
図1から R1+R2==5…(1)
図2から==…(2)
(2)の分母を払うと5R1R2=6(R1+R2)
5R1R2=6R1+6R2…(2’)
(1)よりR1=5−R2を(2’)に代入消去すると
5(5−R2)R2=6(5−R2)+6R2
25R2−5R22=30−6R2+6R2
5R22−25R2+30=0
R22−5R2+6=0
この2次方程式を因数分解して解く
(R2−2)(R2−3)=0
R2=2, 3
元の連立方程式の解は
R2=2のときR1=3
R2=3のときR1=2
いずれも小さい方は2
→【答】(4)
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RとRxの並列接続による合成抵抗は
さらに,Rを直列接続すると,a, b間の合成抵抗は
R+=1.8R
となるから,両辺をRで割ると
1+=1.8
分母を払うと
R+Rx+Rx=1.8R+1.8Rx
0.2Rx=0.8R
Rx=4R
→【答】(4)
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[問題3]
図のように,抵抗,切換スイッチS及び電流計を接続した回路がある。 この回路に直流電圧100[V]を加えた状態で,図のようにスイッチSを開いたとき電流計の指示値は2.0[A]であった。また,スイッチSを@側に閉じたとき電流計の指示値はスイッチ2.5[A],スイッチSをA側に閉じたとき電流計の指示値は5.0[A]であった。このとき,抵抗r[Ω]の値として,正しいのは次のうちどれか。 ただし,電流計の内部抵抗は無視できるものとし,測定誤差はないものとする。
一般財団法人電気技術者試験センターが作成した問題
第三種電気主任技術者試験(電験三種)平成20年度「理論」問6 なお,問題及び解説に対する質問等は,電気技術者試験センターに対してでなく,引用しているこのホームページの作者に対して行うものとする. |
未知数がR1, R2, rの3個あり,各々(電圧)=(電流)×(抵抗)により条件式が3個作れるので,連立方程式で解ける。
スイッチSを開いたとき 100=2(R1+R2)…(1)
スイッチSを@側に閉じたとき
100=2.5(R1+)…(2)
スイッチSをA側に閉じたとき
100=5R1…(3)
(R2の両端には電圧が加わらず,R2には電流は流れない.これはA側の導線の抵抗をRとしたとき,AとR2との合成抵抗
(3)より
のR→0となる極限が0となることから確かめることができる。
) R1=20
これを(1)に代入すると
100=2(20+R2)
100=40+2R2
2R2=60
R2=30
これらを(2)に代入すると
100=2.5(20+)
40=20+
20=
分母を払うと
600+20r=30r
10r=600
r=60→【答】(5)
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