■底の変換公式
a,b>0, a≠1のとき,任意の底c>0, c≠1に対して
(証明)logab= が成り立つ.
(復習)
logab=x …(A)(b>0, a>0, a≠1)とおくと対数の定義 logay=x ←→ y=ax (y>0, a>0, a≠1) 真数の累乗⇔前に付く係数 logaMn=n logaM …(*) b=ax …(B) (B)の両辺に底をcとする対数をとると (c>0, c≠1) logcb=logcax logcb=x logca ←真数の累乗 logcb=logab · logca ← (A) したがって logab= |
(式は苦手:図解にしてほしいという人への解説) ○対数logabは,y=で作られる図のような図形の面積比を表す. なぜかということは,数学Vで習うので,ここではとりあえず「対数とは面積の比」ということだけを押さえておくとよい. logab= つまり,logabとは,図のAの 面積を基準(分母)としたときの,Bの面積を表す.
※筆者が高1のときに「なーんだ.対数なんて,ただの分数じゃん」と言ったら,当時の先生にカンカンに怒られた.先生としては,b/a ではなく,面積の比だと言いたかったようだ.俺はそう言ったつもりだが・・・
これに対して,図のCの面積を基準として表すと,logca= logcb= だから が成り立つ. 例 (1)log23=== (2)log84==
”対数をとる”とは,”対数を取り除くこと”ではなく logab → b ←×
”対数を考えること”を表す.
b → logcb(底はc) ←○ ax → logcax(底はc) ←○ 次の計算公式は底が等しい場合に限り成り立つ.
1.logaM+logaN=logaMN
異なる底で表された対数について,上記のような計算を行うには,あらかじめ底が等しい対数に書き換えておかなければならない.
2.logaM−logaN=loga 3.n logaM=loga(M n)=logaM n |
例次の対数を簡単にせよ.
(1)log23·log32
(解答)log23·log32=log23 =log22=1 (別解) log23·log32= =1
(2)log56·log67·log75
(解答)log56·log67·log75= =1 |
(3)log84
(解答)log84====
(4)log9
(解答)log9====−2 |
問題1次の対数を簡単にせよ. (空欄を埋めよ) |
対数の底と指数の底が等しいとき,次の関係が成り立つ.
指数関数を真数とする対数は,自分自身に等しい.
logaax=x …(I) 指数関数の累乗が対数となっているものは,自分自身に等しい. alogax=x …(II) |
(証明) I ← logaax=x logaa=x ←(*) II ← logax=logax ←明らか 対数の定義により y=logax → ay=x logax=logax → alogax=x |
問題2次の対数を簡単にせよ. (空欄を埋めよ) |
■[個別の頁からの質問に対する回答][底の変換公式について/16.12.31]
log2 1/5 ×log5 1/4など分数のある場合の計算方法も教えて欲しい
=>[作者]:連絡ありがとう. のような変形は底の変換公式とは関係なく,それ以前に登場する対数の変形です. この公式 の特別な場合として もしくは,この公式 の特別な場合として と考えます. これらの前処理を行ってから,次に底の変換公式を使うことになります. |